巨人岡本和真内野手(21)が、セ・リーグ首位打者に躍り出た。ソフトバンク戦で決勝12号2ランを含む2安打3打点。4番の役割を果たし、打率を3割4分3厘まで上げヤクルト坂口を抜いた。長打力を買われ4番を務めるが、状況に応じて打ち分けるバットコントロールが光る。打点も43まで伸ばし、ヤクルト・バレンティンと6打点差。タイトルを十分射程に入れている。

 スタンドに揺らす打球を涼しげに見届けた。岡本がソフトバンク石川の“センタリング”を捉えた。1点を追う4回1死一塁。カウント1ボールから高めに浮いたスライダーをバットに乗せ「芯は芯です。うまく引っかかった」と独特の表現で一打を振り返った。体をやや右足側に倒し、豪快に振り抜く。2戦連発の決勝2ランを決めた。

 チームトップ12号も、長距離砲だけにとどまらない能力を発揮している。5戦連続マルチ安打で4月24日以降は3割超えをキープ。打率3割4分3厘で首位打者に立った。「びっくりしている。(打率は)意識していない部分なので…食らいついていった結果がうまくいっているのかなと思います」と遠慮気味にうなずいた。

 ロシアワールドカップ(W杯)の開幕に合わせ、独特な感性も披露した。「あんまりサッカーは分からない」としながら「打撃は、ボレーシュートの感覚ですよね。ん? 意味分かりますか? すみません」と苦笑いした。体を倒しながら、味方からのパスをダイレクトにゴールへ蹴りこむのがボレーシュート。華やかで高難度な技術と重ねた。「完璧に捉えすぎるよりも少し詰まったぐらいがいい。その方が自分の場合は調子を維持できる」とも加え、少々の強引さを併せ持つ点取り屋をイメージ。相手投手は敵ではなく自身の打撃を“アシスト”するパサーだと位置づけた。

 頼れるストライカーが打線のど真ん中に座り、2カード連続の勝ち越し。高橋監督は「本当に、坂本とともに頼れる選手。本塁打も適時打もそうですし、みんながよくつないでよく守って、鍬原にいい初勝利をプレゼントできたと思います」と目を細めた。巨人の4番に座る岡本の決定力は半端ない。【為田聡史】