ベテランと若手が融合したヤクルトが、土壇場で粘りを見せた。逆転勝ちで3連勝とし、またも広島の優勝決定を阻止。貯金を今季最多の5に伸ばした。ベンチでは「ナイスゲーム!」の声が飛び、小川淳司監督(61)は「すごい粘りだった」とたたえた。

2-4で迎えた9回1死二、三塁、プロ12年目の代打大引は「スライダー来い」と念じていた。8球目、甘く入ってきた138キロのスライダーを右前打とし、1点を返した。代打や守備固めで起用される機会も多く「それだけ期待してもらっているということ。選手冥利(みょうり)に尽きます」。さらに2死一、三塁で1番坂口が初球を右前に運び同点に追いついた。

延長に入っても手を緩めなかった。10回1死二、三塁、川端の高いバウンドの一ゴロが野選を誘い、三塁走者山田哲が生還し勝ち越し。東京音頭が響き、中日ファンが続々と席を立つ、2死満塁で代打はプロ1年目の宮本。緊張より「打ちたい」気持ちが強かった。

高め直球を左前にはじき返し、2点を追加してダメ押し。今季4本目の適時打に「いい場面で回ってくるイメージをして練習している。ベンチの人が喜んでくれてうれしかった」と一塁上で控えめに手をたたいた。監督は「頼もしい。代打で自分のスイングを出せるのはすごい」と喜んだ。

今日26日から敵地で広島3連戦。CSファーストステージの本拠地開催へ、指揮官は「胴上げ阻止とかの問題ではない。ウチは目の前の試合で勝つしかない。なんとか勝てるように頑張るだけ」と言った。上昇気流に乗った燕が、勢いのまま攻め込む。【保坂恭子】