巨人がオリックスを退団する中島宏之内野手(36)の獲得に向けた調査を行うことが2日、分かった。長打力を兼ね備えた経験豊富な右打ちの内野手で、原新監督の元で復権を目指すチームの補強ポイントにもマッチする。

オリックスは同日、中島の退団を発表した。来季の条件として今季年俸3億5000万円から野球協約の減額制限(1億円超は40%)を超える金額を提示したが、この日、代理人を通して断りの連絡が入った。(金額は推定)

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原新監督率いる巨人が中島の動向を注視する。米球界を経てオリックスで4季プレーした中島は、近年は故障もあり、出場機会は多くはないが、打率2割9分前後を安定的に残す打撃技術は一級品で勝負強さも健在。一塁、三塁と複数ポジションを守れる汎用(はんよう)性も備えている。オリックスを退団することが発表されたことを受け、獲得に向けた調査に乗り出す構えだ。

チームは今季は主に岡本が一塁手、マギーが三塁手を務め、岡本が左翼手に回った時にベテランの阿部が一塁手に入る布陣も組んだ。マギーは今季限りでの現役引退も示唆し、去就は流動的。長打力も擁する右打者の中島が加わればオプションは増す。豊富な経験値は岡本、吉川尚、田中俊ら若き内野陣の良き手本にもなりえる。

原監督も中島の技量、プレースタイル、人柄を熟知する。09年の第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では侍ジャパンの監督と選手という関係で、世界一の称号を勝ち取った。当時西武ではクリーンアップだった中島に日本代表では2番という不慣れな打順を託した。連覇への重圧の中で、1番イチローから中軸へつなげる役回りで、バントや右打ちなどチーム打撃を遂行。その存在の大きさは名将も認めていた。

来季、5年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人はFA権を行使した時に備え、広島丸、西武炭谷の動向を注視。米メジャーのマリナーズを退団した岩隈の獲得調査も進めている。中島は来季に備え、先月下旬から渡米。トレーニング施設で肉体強化を図り、新天地でのプレーに向けて動き始めている。その去就が、巨人の覇権奪回とリンクする可能性は十分にある。

 

【戦力外、減超ルール】

日本野球機構(NPB)と選手会には、自由契約公示予定選手や減額制限(1億円超は40%、1億円以下は25%)を超える年俸提示(減超提示)などについて申し合わせ事項が存在する。

戦力外通告を受けた選手(減超提示を受け自由契約を選んだ選手も含む)とは、合同トライアウト(今年は11月13日)の前にテストや契約はできない。減超提示は、10月1日から日本シリーズ終了の翌日まで(シリーズ出場チームは翌々日まで)に行う。球団は減超提示で選手に同意を強制してはならず、同意を取得する場合は5日間以上の期間を設ける。中島は同意しなかったため自由契約となる。