巨人亀井善行外野手(36)がプロ入り初の満塁本塁打を放ち、5番打者争いに名乗りを上げた。1回無死満塁、ヤクルト原のシュートを強振し、右中間席に運んだ。「オープン戦の時期は、ひと振りでいい結果が出せるように心がけています。ひと振りにかける思いが強いです」。カウント3-1から、この日最初のスイングで仕留めた。

10年前、亀井は強烈なひと振りを目に焼き付けた。自身も選出された09年のWBC決勝の韓国戦。同点の延長10回にイチロー(マリナーズ)が決勝打を放った。キャッチボール相手を務め、試合への準備、勝利への執念に生で触れた一流の一打に「すごかった。さすがスーパースターだなと」と感激。当時35歳だったイチローと同世代に達した今、自らも体現している。

忘れられない言葉が胸に残る。不動のレギュラーではなかった自分が選ばれ、自信もなかったが、イチローが侍ジャパンを率いた原監督に「亀井っていい選手ですね。守備もバッティングも。チームにいてくれたら助かる選手です」と言ったことを伝え聞いた。あれから10年。「楽しみです」と17日のマリナーズ戦で再会することを待ち望んだ。

原監督が打線のポイントに挙げるのが、4番岡本の後の5番だ。オープン戦ではゲレーロ、ビヤヌエバらをテスト。当確ランプをともせなかったが、昨年も5番で47試合出場し、09年にも5番で活躍した亀井が、経験と勝負強さでアピールした。原監督は「非常にいいですね。コンディションも春からずっとね」と評価した。【久保賢吾】