負傷をも力に変える。左手人さし指の裂傷で戦列を離れていたDeNA柴田竜拓内野手(27)が3日、函館市内で行われた1軍の全体練習へ約1カ月ぶりに参加。

守備では指にサポーターをつけながら練習したが「もう問題ないです。(指の皮は若干むけてるが)ふさがっているので」と力強く話した。

7月9日の中日戦(バンテリンドーム)で二盗を試みた一塁走者の京田陽太にタッチした際、スパイクで裂傷を負った。グラブから出していた人さし指を4針縫った。「自分のタッチの仕方というか防ぎようはたくさんあったと思う。そこを見直す。いろんなタッチの仕方がある。あれは自分の技術不足」と単なる事故として片付けない。人さし指を出すことは変えないが、新たなタッチの方法で臨む。

今季は試合中の接触で、2度の登録抹消に見舞われた。4月23日阪神戦(甲子園)では二塁手として飛球を追った際、遊撃大和と交錯。左肩を脱臼した。「風も反対側でしたし、自分が追い過ぎてああいう形になってしまった。もっと周りのことを感じられれば、ああいうことは起きなかった」。開幕スタメンとなりながら、今季の出場は35試合にとどまる。「防げるけがは防がないと年間通して戦力になっていけない。今年2回抹消になってすごく悔しい。必ず防げるミスだったと思う」。レギュラー奪取に再挑戦する。

けがの功名もあった。左肩を脱臼し、感覚が「全然、今までと違う」。だが打撃時に「僕は左肩が(前に)出る癖があったので、出なくなった。プラスのことも結構あった。肩をけがして体が勝手に怖くなっているのか分からないですが、前より出づらくなっている」。左打ちの打撃で左肩が前に出ると、右肩が開いてしまう。故障が癒えると、この悪癖が直っていた。

エキシビションマッチは残り5試合。「プロの世界は少しでもけがで離れると、次の選手がどんどん出る。6年目ですけど、そういう世界と感じていた。しっかり取り返さないといけない。最後は自分がレギュラーで出るのが目標になる。そこに対して心も体も準備したい」。はるばる来た、北の港町でレギュラー再奪取を誓った。【斎藤直樹】