<オープン戦:広島5-6西武>◇2日◇広島

 西武渡辺監督が公式戦さながらの本気采配で、対外試合7戦目で初勝利をもぎとった。1点差に迫られた9回2死一、二塁、広島前田智を打席に迎え、動いた。右サイドの岩崎に代え、登板予定のなかった左腕星野を投入。捕邪飛に仕留めると、ベンチからは歓声が起こった。

 継投について「うちは勝ってなかったからね。昨年はあまり良くなかった星野をあえて使った」。緊急登板の星野は右翼線ギリギリにファウルされたスライダーで勝負し続け、苦しい場面を乗り越えた。「左を抑えるのが僕の仕事ですから」(星野)と、左キラーに自信を取り戻させた。

 初めて4番で起用した「ポスト・カブレラ」も期待に応えた。新外国人ブラゼルが1回、実戦初アーチとなる右翼越え先制2ラン。2回にも中前2点適時打と計4打点の大暴れ。それでも「まだ6~7割の状態」と言うのだから頼もしい。

 ただ、浮かれてばかりもいられない内容だった。6点リードとワンサイドのはずが、失策絡みで徐々に追い上げられ、打線も3回以降は無安打。「勝ちはそんなに簡単にできるものじゃないことを、選手も分かったんじゃないかな」。指揮官は安堵(あんど)の表情を見せながら、1勝の重みをかみしめた。【柴田猛夫】