<オープン戦:ソフトバンク5―2楽天>◇4日◇福岡ヤフードーム◆浜名千広氏

 開幕カードとなる楽天に完勝したソフトバンクだが、今季の目標に掲げる「細かい野球」でちょっと気になるプレーがあった。3回裏1死満塁の場面での一塁走者・松田の走塁だ。次打者・柴原が二ゴロを放ったが、松田は二塁への併殺崩しの走塁ができていなかった。結果的に楽天が併殺打にできなかったから勝ち越し点が入ったが、とにかく一塁走者としている以上は、併殺つぶしの走塁は絶対条件だ。あの場面、松田は一、二塁線上にリードを取っておらず、一塁後方にリードを取っていた。このオープン戦ではチームのテーマでもある「0・1秒のスピードアップ」が浸透しつつある。三塁打が増えたことでも証明されているが、次の塁を狙う走塁も意識が高まってきていただけに、もっと細かいところも求めてもらいたいと思う。直前の1死一、二塁の場面では松田の三塁ゴロ(結果は内野安打)で、一塁走者の多村が果敢に二塁へ滑り込み封殺をまぬがれている。そうやってつくった満塁のチャンスなのだ。

 公式戦になれば、目に見えないプレーが勝敗を分けることがある。終わってみれば優勝か2位か、という分岐点の試合になることだってある。せっかく走塁の意識が向上しているだけに、次に生かしてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)