マー君、完投してくれ!

 楽天野村克也監督(72)が20日の開幕逆転サヨナラ負けの悲劇を一掃すべく、22日の先発・田中将大投手(19)にすべてを託す。福岡ヤフードームで全体練習を行った21日、前夜の敗戦を振り返りつつ「ドミンゴと心中は嫌だけど、岩隈、田中なら辞めてもいい」と、1試合を任せきり、監督生命を委ねても悔いはない覚悟を明かした。また「あれは『行けるか』と聞けば『投げます』と必ず言うから」と田中の完投志向を頼もしそうに話した。紀藤投手コーチも「投手の基本は先発完投だよ」と完投指令。まずは若き右腕で1勝を挙げたいのが首脳陣の総意だ。

 一夜明けても、野村監督の悪夢はさめていない。「指揮官、失格だな。二塁打で無死二、三塁になって柴原で、塁が空いているんだから、歩かせる方法もあった。7球だったからな。頭が真っ白になっていた」と、反省。屈辱感を消し去る勝利を田中に求めた。

 田中は前日の試合後、誰よりも険しい顔でベンチから出てきた。敗戦の瞬間から雪辱に燃える表情だった。この日は「去年と違うのは責任感。今年は求められているものも違うことをしっかり自覚して投げたい」と、決意を新たにした。福岡ヤフードームは、ルーキーだった昨年、1回2/3、6失点で降板し、悔し涙を流したデビュー戦の地。経験と実績を積み、今では中心投手と成長した。チームの危機を救うべく、19歳はマウンドに立つ。【金子航】