<ソフトバンク4-0楽天>◇23日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク川崎宗則内野手(26)が、後輩たちの〝初勝利〟を喜んだ。楽天戦の8回無死一塁から左中間二塁打をマーク。この一打による敵失と走者田上の好走塁で待望の先制点が入り、ルーキー大場のプロ初勝利をアシストした。センバツ高校野球では、母校鹿児島工が水戸商を下し、初戦を突破。試合後は選手ロッカー室でテレビ観戦し、校歌を斉唱して喜びを分かち合った。

 福岡ヤフードームの一塁側選手ロッカー室から、川崎の歌声が通路にまで響いた。「聞こえました?

 水戸商はバランスのいいチームだったから、いつ逆転されるかヒヤヒヤしてましたよ」。開幕3連勝を決めた楽天戦後、選手ロッカーのテレビで母校、鹿児島工の試合をじっくりと観戦。初戦突破が決まると、後輩たちとともに校歌を声高に斉唱し、感動を分かち合った。

 グラウンド上でもチームの後輩の活躍を喜んでいた。ルーキー大場がプロ初登板を、リーグ初の無四球完封で飾った。「すごいっすねえ。行きそうな雰囲気はありましたよ」。マウンド上で孤軍奮闘する大場を幾度となく、励ました。「普段は若い投手とアイコンタクトするんですけど、今日はあいつから『(元気)マックスで行きます』と」。何とか援護射撃をしたかった。

 迎えた第4打席、8回無死一塁のチャンス。初球から送りバントの構えを見せ、カウント1―1から試みたが、失敗。「点が取れなくて、何とかしてあげたかったのに、バント失敗ですから。どうしても走者を進めたかった」。143キロの直球を左中間にはじき返した。中堅手の失策もあり、一塁走者の田上が一気に生還。三塁ベース上では武者震いするような、川崎の姿があった。「打点はないし、田上さんの走塁のおかげですよ」。そう謙遜(けんそん)したが、試合の流れをグっと引き寄せたのは確かだった。【中村泰三】