<日本ハム0-8西武>◇26日◇札幌ドーム

 お株を奪われるような手堅い攻撃が、ボディーブローのように効いた。日本ハムは西武に今季最多の8失点で、打線は無得点。梨田昌孝監督(54)は、なすすべがなかった完敗を豪快に水に流した。「100点取られるのも、1点差でも負けは負け」。岸をとらえられず今季初の完封負け。14安打9得点で快勝した前夜の余韻は、この日の2時間46分の戦に残っていなかった。

 序盤が、分岐点だった。初回無死一塁。やや不振の森本がフルカウントから、必死に選んだ四球から先制のチャンスができた。「自由に打たせるか、エンドランか」。梨田監督は選択肢から送りバントを消し、前夜2アーチの田中に選んだのはヒットエンドランだった。外角高め、やや外された直球を空振りし、二盗失敗。梨田監督が選んだギャンブルは「結果的に言えば失敗」と、外れた。

 負の連鎖は、さらに続く。2回、唯一の連打でつくった無死一、二塁。初球、糸井が犠打を失敗。2球目。二塁走者のスレッジが、バントシフトと見せかけて走者をおびき出し殺す、簡単なピックオフプレーに引っかかり、チャンスをつぶした。吉川にある程度の援護が必要とにらみ、選んだ策。直後の3回に犠打を絡められ、先制を献上すると、その後は一発あり、進塁打でチャンスを広げられるなど追加点を一気に許した。

 狙いは、結果的にずれていった。「今年で一番、悪い試合展開だった」。もくろんでいた本拠地での開幕6試合勝ち越しは、この日で消滅した。札幌市はこの日、6日連続で気温10度以上。3月では観測史上初めてだったが、札幌ドームは、ちょっと寒かった。【高山通史】