<中日4-10阪神>◇5日◇ナゴヤドーム

 虎キラー形無し…。中日中田賢一投手(25)が、過去9勝3敗の阪神にめった打ちされた。初回、先頭赤星から7者連続出塁を許すなど一挙7失点。本来の球威を取り戻せないまま3回にも2点を失い、今季ワーストの3回9安打9失点で2敗目(4勝)を喫した。中日は今季最多となる10失点での敗戦で、首位攻防3連戦を1勝2敗と負け越し、首位阪神にまた2・5ゲーム差と離された。

 中田の端正な顔は、みるみる青ざめていった。初回先頭赤星に左翼へ二塁打を打たれ、平野の投前への当たりは処理に手間取り内野安打。新井に左前タイムリーを浴び、金本に四球、葛城には左翼線へ2点打を打たれた。ここでベンチを出た森バッテリーチーフコーチから何事かゲキを飛ばされたが、立ち直れない。最初のアウトは8番関本の中犠飛。43球を投じた初回は、開始から26分後にようやく終わった。

 中田

 こういうピッチングをやってしまうとチーム全体に迷惑がかかる。1回は自分なりにセーブしたつもりだったけど、ボールが投げ分けられなかった。

 「虎キラー」のはずだった。この試合まで9勝3敗。前回4月22日の対戦(ナゴヤドーム)ではプロ初完封を決めている。この日は最速145キロ止まりのストレートを簡単に捕らえられ、甘い変化球は楽々とはじき返された。味方が反撃しても、乗っていけない。3回にも3安打と2四球で2失点。今季ワースト、3回9失点で降板した。

 首位追撃の切り札だった。開幕から中6日の登板間隔を守ってきたが、初めて中5日に前倒し。昨季はシーズン中に中5日で3度先発し0勝1敗、防御率4・80と不本意な成績だったが、それでも期待を込めて送り出されていた。

 落合監督は「きょうはもう、まるっきりだめ」と切り捨てた。「暴れ馬」と名づけた中田の、制球重視の姿勢が気に入らない。「まっすぐとわかっていても空振りが取れるピッチャー。そういうボールがこないと、中に集まってきたらやられる。だから、暴れろ、というんだ。どこかでイメージチェンジするんだろうけど、まだまだ早すぎる」。期待が大きいだけに、辛口だった。【村野

 森】