<ウエスタン・リーグ:サーパス3-4ソフトバンク>◇16日◇北神戸

 左ひざの軟骨移植手術から再起を目指すオリックス清原和博内野手(40)が、実戦復帰後初の本塁打を放った。ソフトバンク戦に「5番DH」で出場。6回、甲藤の外角速球を右翼ポール際に運んだ。06年9月2日ロッテ戦(京セラドーム大阪)以来、実に622日ぶりのアーチ。2軍では巨人時代の00年6月以来となった。清原が着実に完全復活への階段を上がっている。

 清原はホーム手前で少し立ち止まってから、感慨深げにベースを踏んだ。松葉づえのリハビリから、再びダイヤモンドを1周できる瞬間がやってきた。突き上げた右拳はスタンドの亜希夫人(39)ら家族にささげる感謝の証し。実戦復帰から6試合18打席目、ついに622日ぶりのホームランをカッ飛ばした。

 清原

 僕自身も驚いてます。打ったという感触はなくて振ったところにボールがきた感じ。でもうれしいですね。これからの苦しい反復練習に神様がもう少し頑張れ、頑張れば結果が出るよ、と言ってくれてるのかな。

 甲藤の前に中飛、投ゴロと倒れ、迎えた6回1死の第3打席。外角速球をジャストミートで右翼ポール際に運んだ。日米問わず、ひざの軟骨移植手術から再起したスポーツ選手の前例はなく、清原が起こした奇跡に近い瞬間だった。だが感激に浸ったのは、ほんの一瞬だった。

 清原

 走る方はそこそこ順調にきてるけど課題は打撃。もともと足でタイミングを取るタイプ。その左足に2キロの重りがついてるから感覚にズレがある。2軍投手にも四苦八苦してるでしょ。1軍の140、150キロのコンマ何秒の戦いに対応できるのか。今日の本塁打は偶然。この状態ならイチローでも打つのは難しいと思うし、自然なステップができるまでまだまだ時間がかかる。

 左足に装着する特製サポーターは重さ1キロで汗を含むと2キロにもなる。プラスチック製で可動域も限られ、思うように左足の動きができない状態だ。

 清原

 昨日の検査ではひざの水に血も混じっていた。練習量も制限し課題を克服していくしかない。(1軍復帰に)どれだけ時間がかかるか想像できない。でも上がった時、今日のようにホームランを打てる日を信じてやっていきたい。

 描いた通りのフルスイングができるまで心からの笑顔は封印する。1軍で打つ通算526本目のアーチこそ、完全復活の1発になる。【松井清員】