<阪神7-4巨人>◇22日◇甲子園

 阪神がついに優勝マジック46を点灯させた。本拠地甲子園での巨人戦で4点差から鮮やかな逆転勝ち。4回に相手2失策に乗じて3点を返すと、5回にも相手失策から1死一、二塁とチャンスを広げ、高橋光信内野手(33)が左前へ同点適時打。さらに代打桧山進次郎外野手(39)の二ゴロの間に勝ち越し、矢野輝弘捕手(39)の2点適時打で一挙4点を奪った。球宴前にマジックが点灯したのは62年東映、65年南海、95年オリックス、03年阪神に次いで5度目。阪神は2度目で史上初の快挙となった。

 “逆転の虎”がキバをむいた。4回に1点差に詰め寄り、5回に一気の攻撃でひっくり返した。1死から金本が失策で出塁し、関本がヒットで続く。高橋光の同点打、なお満塁から代打桧山の二ゴロの間に勝ち越した。最後は矢野の2点中前適時打で、巨人を突き放した。矢野は4回にも追撃の左前適時打。途中出場で2安打3打点と勝利を引き寄せる活躍を演じた。

 矢野

 必死のパッチだった。名古屋でも、昨日も負けて、いやな雰囲気でこの試合。うれしかったよ。2人かえれば最高と思った。

 8度目挑戦のマジック点灯へ、チーム全員で扉をこじ開けた。首位独走のチームが、あと1歩で苦戦を続けた。前夜は打線が精彩を欠き嫌な流れだったが、この日はベンチ入り25人のうち、20人がグラウンドで戦った。矢野は「ベンチの選手ほとんどが出た。みんなで頑張って盛り上げている。新井もいないし、ほかにもケガ人がいる。全員で戦えている結果だ」と胸を張った。

 勝負どころでは経験が大きな力になる。勝ち越し点を奪った桧山は狙い通りだった。2ボールからの3球目。「1発でしとめたかった。ミスショットでファウルになると、考えてしまうから。凡打の中で最高の凡打になった」と振り返った。逆転劇は矢野と桧山が軸になった。03、05年の2度優勝経験があるベテラン2人が若手を引っ張った。

 阪神が球宴前にマジックを点灯させたのは今回2度目で、これはプロ野球史上初。これからは消していく楽しみが待っている。岡田監督は「下位打線というか左(内海)だったので右打者がよくつないだ。桧山?

 流れ的にはあそこで逆転しておけば」としてやったり。マジック点灯については「まだそれはええ。明日でええ。明日、1試合何とか先発にも頑張ってもらって、いい形で締めくくりたい」と表情を引き締めた。

 勝利を代表してお立ち台に立った矢野も「気持ちいいけど、目標はマジックをつけることじゃない。優勝することです!」。05年以来のリーグ制覇へ、虎に死角はない。【田口真一郎】