<阪神2-5広島>◇6日◇京セラドーム大阪

 堂々と胸を張れる新記録だ。阪神赤星憲広外野手(32)が、和田守備走塁コーチが持っていた1929打席連続ノーアーチのセ・リーグ記録を更新した。05年6月12日の日本ハム戦(甲子園)で江尻から2ランを放って以来続くノーアーチ記録。あと1打席で迎えたこの日の試合で5打席を重ね、1933打席とした。

 1番の役割に徹し続けてきたからこそ生まれた新記録。悔しい3連敗に笑顔はなかったが「僕の持ち味は本塁打よりも塁に出ること。(敗戦で)暗くなっても仕方がない。これからが本当の戦い」と言った。

 この日も赤星らしさ全開だった。初回、右翼線に鋭い打球を放つ。三塁を狙ったが、広島の中継プレーに惜しくも阻まれた。続く2打席は、いずれも遊撃への内野安打。5回は一時、同点に追いつくきっかけとなった。本塁打は出なくても、足を生かした安打は赤星しか打てない。3試合ぶり今季7度目の猛打賞。塁に出てかき回す小兵らしさを存分に発揮した。

 リードオフマンとして1打席でも多く出塁するという強い意識が生み出した記録だ。赤星も「恥ずかしい記録じゃないし、気にはならない。本塁打を狙って打てるもんでもないしね」と、むしろ勲章だと受け止めている。今シーズン中にも日下隆(近鉄)の持つ日本記録、2088打席連続ノーアーチにも到達するが「ここまで来たらとことんいって、名前を残したい」と言い切る。相手の嫌がることを仕掛けるのが赤星流。1発の長打力より、威力を発揮することもある。赤星にとっては輝く“勲章”だ。【福岡吉央】