<ヤクルト1-2中日>◇7日◇松山

 中日佐藤充投手(30)が06年8月13日阪神戦(ナゴヤドーム)以来2年ぶりの白星をマークした。立ち上がりに1点を失ってから粘りに粘り、7回2/3を7安打1失点。06年に9勝したかつての姿を取り戻した。打線は今季初めて3番に抜てきされた井上が6回に同点二塁打を放ち、7回に7番デラロサの4号ソロで勝ち越し。3位に甘んじるチームは、五輪代表組5人が抜ける中、投打をかみ合わせて接戦を制した。

 唇がかすかに震えた。お立ち台の佐藤充は、涙をこらえて何度も言葉につまった。「本当に勝てたのが久しぶりで…。うれしいのひと言。本当にどん底を味わって、何もできないところからよくぞここまで戻ってきたと思う」と口にした。

 725日ぶりの復活星を挙げた。今季4度目の先発で、4回まで毎回得点圏にランナーを背負った。だが初回の1失点でこらえて援護を待った。「もともとビシビシ抑えるタイプじゃない。粘り強く」。1点リードの7回2死からは勝利を意識して福地に四球を与えたが、続く川島慶の2球目に福地の二盗を谷繁が阻止。7回2/3を投げて7安打1失点で勝利をつかんだ。

 長いスランプだった。06年に9勝を挙げ、タレント「KABA.ちゃん」に似ていることから「カバちゃん」の愛称で大ブレーク。しかし06年8月13日阪神戦以降、2ケタ勝利目前で勝てなくなった。同年の日本シリーズは、宮崎フェニックスリーグ行きで出番なし。昨年も登板1試合で0勝1敗だった。

 原因はけがではなく不調だった。「自分のボールが悪かった。やっとボールを切って投げるという感覚が戻ってきた」。今季はファームで3試合連続完封勝ちするなど結果を残し、ついに復活星を挙げた。落合監督は「10勝するまで2年かかったな」と、06年の9勝とこの日の勝利を合わせてねぎらった。

 エース川上が五輪代表で抜け、朝倉、吉見が故障離脱中の先発陣にあって、豊富なスタミナを誇る佐藤充の復活は大きい。佐藤充は「結果が出ていなくても、続けて投げさせてもらえたことが自信になった。次につなげていきたい」とさらなる恩返しを誓っていた。【益田一弘】