<中日1-0巨人>◇28日◇ナゴヤドーム

 中日は本拠地ラストゲームで巨人との息詰まる投手戦を制し、3位タイを死守するとともに、クライマックスシリーズ(CS)進出マジックを7に減らした。新Gキラー、チェン・ウェイン投手(23)が8回を5安打0封。今季7勝目を挙げるとともに、同カード3勝として今季の勝ち越しを決めた。8回裏に荒木の4号ソロで勝ち越し、最後は岩瀬が締める会心の展開。1週間後に控える東京ドームでの巨人2連戦も、その先のCSも、もう怖くない!

 昨年育成枠だったことなどみじんも感じさせない。チェンが巨人打線をなで切りだ。1回2死から小笠原に死球を与えたが、続くラミレスを143キロの内角直球で見逃し三振。アクシデントに動じず、その後も気迫あふれる投球を続ける。5回2死二塁で投手上原に左前打を浴びたが、左翼和田の本塁補殺で救われる運もあった。最速149キロの直球で右打者の内角、左打者の外角を丁寧につき、8回5安打無失点。圧巻の7勝目だった。

 新Gキラー襲名だ。これで巨人から3勝目。防御率1・73と抑え込んでいる。母国台湾で巨人は人気チームだった。高苑高時代、衛星放送で何度も見た。「マツイさん、ヨシノブさんが有名でした」。実際に対戦するようになってからは、慎重に攻めることを心がけてきた。「投げやすいということはないですけど…。下半身をしっかり使って投げようと思った」。今季の同カード勝ち越しを決める1勝を、かみしめるように振り返った。

 重圧をバネにした。同率3位で並ぶ広島がデーゲームでヤクルトに完勝。中日は、負けるか引き分ければ4位に転落し「自力3位」の可能性も消滅していた。「広島が勝っていたので、うちも負けられない。何とかチームのために勝ちたかった」。左ひじ手術からのリハビリに明け暮れた昨年と違い、大事な試合で投げられることがうれしい。これで16日阪神戦の7回から20イニング無失点の安定ぶりだ。

 落合監督もチェンの成長に目を細めた。「今日のゲームに関して言えば貧打戦じゃない。危ないボールはお互いいっぱいあるにしても、チャンスを何度もつぶしたという試合ではない。これからもこういうピッチングができるんじゃないか。やっぱり彼には日本の野球が合っている。台湾でもアメリカでもないだろう」。

 残り7戦でCS進出マジックは7。気を抜けない状況は続くが、戦えるメドは立っている。巨人とも敵地で2戦を残しているが、投げるたびに安定感を増すチェンがいれば怖くない。CS出場への道筋は、狭くはあるがはっきりと通っている。【村野森】