<日本ハム1-4ロッテ>◇28日◇札幌ドーム

 日本ハムの自力でのAクラス奪取が消滅した。0・5ゲーム差をつけていた4位ロッテとの直接対決で逆転負け。連勝が5でストップし、入れ替わり4位へと転落した。打線がロッテ成瀬に10三振など計11三振で、3安打と沈黙。残り2試合を全勝しても、2位オリックスが1勝、ロッテが3勝すれば、クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性がなくなる。29日の2戦目に先発するダルビッシュ有投手(22)に命運を託す。

 敗軍の将は、いつもように自分を責めた。打線も呼応せず、記録に表れない小さなミスで流れも失った大一番。必然的な逆転負けだった。超満員4万2126人のファンのため息を聞いてから約5分後、穏やかな口調で敗因を、最後は一言で片付けた。「監督の責任です」。自力でのCS進出の可能性が完全消滅しても、平静を保っていた。

 試合も穏やかだった。苦手の成瀬に「K」の山。7回までに10三振で2安打。5回に盗塁と暴投からつくった2死三塁で、田中の先制打で1点を奪うのがやっと。レギュラーシーズンで過去9戦で白星なしの7敗を喫している天敵に、また屈した。8回。じわじわと引き寄せられた流れが、一気に傾く。2番建山が1死から1敬遠を挟み4連打で逆転され、勝負あった。

 指揮官も紙一重の展開と読んでいた。「1点(先に)取れたので逃げ切ろうと思った」。明暗を分けた、その8回。7回まで8安打、無失点と粘投の藤井から建山へ交代。その建山を1死一、二塁の場面で、今季対戦2打数1安打の代打福浦でも続投を決断した。3番手で起用した武田勝を「左対左」で投入するのも選択肢の1つだが、今季は一貫してきた信念を通した。奮闘してきたベテランを尊重し、信じた。

 梨田監督

 それをしたら、うちのチームは終わってしまう。みんながやる気をなくすんじゃないか。

 結果的に、同点打を浴び、逆転負けの伏線になったが、悔いなしの采配。建山も「結果的にチームに申し訳ないことをした」と反省も忘れなかったが、逆に奮い立っていた。「あれは信じて、任せてもらったということ。それに応えたかった」。完敗での4位転落で、CSへの2位通過は極めて厳しい状況に陥った。現実を直視すればダメージが大きい1日。ただ残り2試合、一致団結でドラマを起こす-。がけっぷちに立っても、選手起用にそんな「隠し味」だけは利かせ、潔く敗れた。【高山通史】