<ヤクルト4-3横浜>◇12日◇神宮

 横浜村田が今季最終戦で46号3ランを放ち、2年連続の単独本塁打王とともに、球団の年間本塁打記録(04年ウッズ45本)を塗り替えた。

 三塁を回ると、喜びを込めてガッツポーズした。大矢監督はじめナインが総立ちで出迎えた。「ホッとしたというか、自分でも感動する不思議な気持ちでした」。0-3の7回、ヤクルト押本から左翼席中段へ同点3ラン。11日に巨人ラミレスが45号を放ち、並ばれた。だが、「(巨人は全日程を終え)もう抜かれることはない」と平常心で臨んだ。そして、打った。この精神力と勝負強さが、北京五輪で12試合を欠場したハンディもはねのけた。

 「家族のサポートがあってタイトルをとれました」。長男の閏哉くん(2)の話題になると、表情が崩れる。愛息は予定日より約2カ月、早く生まれた。1000グラムに満たず、命の危機にさらされた。「子どものことがなければ知らなかったことだけど、(未熟児の育児は)お金が掛かるんです。おむつも普通の倍。自分は、たまたまこういう職業だけど」。本塁打で挙げた打点に応じた金額を、神奈川県の子ども医療機関に寄付をする。救ってくれた医師への感謝。似た環境にある人たちへの励まし。いろいろな思いを込める。

 初の打率3割も達成。セ・リーグ日本人打者で2年連続本塁打王は、90、91年の落合以来の快挙だ。来季のマークは厳しくなるが「まだ、いけると思うし、いかないといけない。チームを立て直すためにも、来季は投手にもカツを入れながら頑張りたい」と言った。男村田の野球道は、さらに上がある。【古川真弥】