<日本シリーズ:西武4-6巨人>◇第3戦◇4日◇西武ドーム

 巨人が誇る剛腕コンビが追いすがる西武をねじ伏せた。守護神クルーンが2点差の9回裏を抑え日本シリーズ初セーブをマーク。1点差に迫られた7回裏からは、3連投の越智が2回を無失点。2人合わせて5奪三振と豪快にゲーム終盤を締めくくった。

 褐色の右腕を、天に突き上げほえた。だが引き揚げるクルーンはもう、冷静沈着だった。「記憶に残るセーブの1つだ。日本一になって、価値あるものにしなければ」。来日4年目でたどり着いた、日本シリーズ初セーブ。余韻に浸るのはまだ早い。守護神の責任感を口にした。気合の半そでで、ポストシーズンに向け新たに入れたタトゥーをのぞかせながらの投球。制球も球威も申し分なかった。「間隔がずいぶん空いていたので」と、ブルペンで早めに肩をつくり準備。心身の状態を整え結果を出した。

 舞台を準備してくれたのは3連投の越智だった。1点差の7回裏から登板。最速150キロの直球で押し、フォークで沈める。ここ2戦に増し腕が振れていた。初戦のテレビ解説を行った日本ハム・ダルビッシュが「制球が悪い」と評した言葉に奮い立った。「彼にはそう見えたんでしょうけど。ボクにはボクのスタイルがある」。敵を圧倒するボールの角度と力。意地がぎっしり詰まった24球だった。

 2人の勢いは原監督にも届いていた。「ウチの勝ちパターン。越智は今年の成長株No.1。クルーンも安心して、見ていられた」。あと2つ。巨人のゲーム終盤には、この2人がいる。【宮下敬至】