オリックス浜中治外野手(30)が“引退覚悟”で勝負の来季に臨む。8日の高知秋季キャンプで、長打力を高く買う大石監督が外野のレギュラー奪取を厳命。それを受けた浜中は「来年が最後のつもりでやる」と決意表明し、20本塁打以上をノルマに掲げた。

 指揮官の熱い言葉がアーチ職人・浜中の心をくすぐった。「本塁打は意識していかないといけない。大きいのを打てる打者が(本塁打を)打たないと。人より飛ばせるわけだから。20本と言わず、それ以上を目標にしています」。大石監督がこの日、外野争いについて触れた中での発言。明らかに浜中をさしていた。

 「外野は全部白紙だけど、一角には20本塁打以上打てる選手を置きたい。一番手は浜中になりますね。来年は期待しています。それくらいの素材ですから」。

 浜中の移籍1年目の今季は安定感を欠いて85試合出場、9本塁打にとどまった。2軍落ちも味わった。雪辱を期する秋季キャンプでは、1日1000スイング近い猛練習をこなす。

 「たくさん振っていく中で『こんな感じかな』というのが見えてくる。ミスショットが多いことはいつも言われています。なくさないと20本は見えてこない」。

 過去の実績や栄光は忘れた。来季に向けた浜中の気持ちはシビアなものだ。「プロ野球選手であるからにはレギュラーを取らないといけない。自分も30歳になった。あと何年野球をやれるか分からない。最後の1年と思って必死にやります」。野球人生をかけてバットを振り続ける。【柏原誠】