中日落合博満監督(55)が22日「愛の地獄ノック」復活を宣言した。昨年の沖縄キャンプでは初日に「バットは振りません」とノックを封印したが、今年のキャンプでは積極的に打つ。しかも期待の選手だけという条件付き。就任直後の03年秋季キャンプ以来“名物”となったオレ流ノックが、パワーアップして北谷球場に帰ってくる。

 今季からの3年契約を結び、新しいチームづくりに着手する落合監督は沖縄キャンプで積極的にノックを打つ意志を示した。「今年は打つぞ!

 まあ期待しているやつにしか打たないけどな。ハハハハッ」。オレ流ノック復活宣言。しかも、対象を限った条件付きの“愛のノック”だという。

 昨年、落合監督はキャンプ初日から「静」の姿勢を貫いた。2月1日、北谷球場で行われた会見でレギュラー8人を発表した上に「バットは振りません」とノック封印を宣言した。選手への打撃指導などでバットを持ったことはあったが、シーズン開幕直前までノックを打たなかった。

 そんな指揮官が今年は「動」へ転換する。ウッズ、中村紀、川上の主力3人が退団した今季は全選手による大競争を掲げ、新たなチームづくりを目指す。レギュラーが固定できた昨季と違い、監督自らが選手を振り分けていく作業が必要になる。だからこそオレ流ノックを復活させるのだ。

 落合監督によるノックがキャンプ名物となったのは就任した03年オフの秋季キャンプから。右に、左に。捕れそうで捕れないコースに絶妙の強さで繰り出されるノックで荒木、井端の二遊間コンビを球界トップの名手に鍛え上げた。控え選手だった森野をノック中に失神させるほど追い込み、三塁手としてレギュラーに育て上げもした。あまりの厳しさに選手の間では「虫けらノック」と呼ばれ、恐れられている。

 今年のキャンプの主なターゲットは二遊間のコンバートに挑戦する荒木、井端、そして三塁に固定される森野となりそうだ。すでに「あいつらはオレが手元に置いて、しっかりやるよ」と宣言している。大砲不在となり、守りの野球への回帰を掲げているだけにこの3人には連日、お呼びがかかりそうだ。

 また中堅、一塁とレギュラー不在のポジションが多いだけにレギュラー獲得を目指す若手、中堅クラスの選手にも積極的にノックの雨を降らせることが予想される。体力的にはきついがそれは期待の裏返し。選手にとっては悲しくも、うれしい「愛の地獄ノック」となりそうだ。【鈴木忠平】

 [2009年1月23日10時27分

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