“トラのシュレック”見参!

 阪神の新外国人ケビン・メンチ外野手(31=ブルージェイズ)が28日、来日した。メジャー通算89本塁打の大砲は、愛称を人気アニメ映画の主人公で怪物の「シュレック」と明かし、性格は「喜怒哀楽が激しい」と紹介。「メンチ」の相手をにらみつける日本での意味を聞かされると「投手に内角を攻められたら、背中の名前(メンチ)を指さすよ」と不敵に笑った。性格も肉体も発言もかなりの武闘派。頼もしい“助っ人”の上陸だ。

 デカい頭に、大きく張り出した額、くぼんだ眼窩(がんか)。いかつい顔のメンチが大きくうなずいた。「メンチ」は日本、主に関西地区で「にらみつける」という意味があることを伝え聞いたときだ。ニヤリ笑って言葉を発した。

 メンチ

 ドイツ語でメンチは「いい人」という意味があるらしいが、日本では怒る、にらみつけるという意味か。じゃあ投手に内角を攻められたら、自分の(ユニホームの)背中の名前を指さして「メンチを切る」と言ったほうがいいか。

 米国では筋骨隆々の肉体、デカい頭とその風ぼうから人気映画の怪物「シュレック」と呼ばれていたという。それでも「妻(シャナ)もおれのニックネームを知っていたけど、全然気にしなかった。日本ではどんなニックネームでもOKだ」と豪快に笑い飛ばした。

 南社長は、メンチ獲得の決め手に「明るいから」と性格をあげた。その片りんを来日会見でも見せつけた。冒頭から日本について知っていることを聞かれて「メジャーで日本の選手と接触があったから悪い言葉は知っている。最初はそこから覚えるもの。放送禁止の言葉だからここではやめておく」。さらに現在の体重について「(公称の)100キロぐらい。あ、飛行機でたくさん食べたから30ポンド(約13・6キロ)は太ったな」とジョークを連発した。

 激しいハートも備えている。自分の性格について「ストレートに感情が出るタイプ。喜怒哀楽は激しいし、全部出る。ユニホームをドロドロにするぐらいまで頑張りたい」ときっぱり宣言。打撃はアグレッシブで、積極的にバットを振っていくタイプという。契約では阪神が提示した複数年を蹴って単年勝負を選択。「他の国でプレーするわけだからまず1年。家族が日本を好きになって自分もいい結果が出れば、また違う交渉をする」と説明。裏を返せば成績を残してがっぽり年俸をアップさせるチャンスを残した自信の表れだ。

 オフの期間は8歳から始めたアイスホッケーで体を動かした。「仲間うちでパスの取り合いをしたりする。下半身の強化にいい」という。趣味に「氷上の格闘技」アイスホッケーを選ぶことも、武闘派のにおいを漂わせる。

 真弓監督はメンチに林、桜井らと右翼争いをさせる方針で、試合の早期出場も求めている。メンチは「競争は当然。早く仕上げて多くのゲームに出て、日本の野球に慣れていきたい」。メジャー通算89本塁打を誇る右の大砲が、メンチを切って、日本球界をねり歩く。【益田一弘】

 [2009年1月29日10時47分

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