<巨人6-8オリックス>◇24日◇東京ドーム

 オリックス平野佳寿投手(25)が07年9月以来、約1年8カ月ぶりの勝利で完全復活を告げた。巨人を6回1失点に封じ込めた。試合終了の瞬間、平野は会心の笑みを浮かべた。大石監督に尻をたたかれ、佐々木投手コーチに抱擁され頭を下げた。

 「ずっと見てもらった2軍のトレーナーやコーチ、待っていてくれた1軍の方々に感謝したいです。ウイニングボールは僕が持っていても仕方ないので、家族か誰かにあげます」。球場に父紹寿さん(56)や親せきを招待していた。

 初回1死二塁では小笠原をフォークで空振り三振、ラミレスはバットを内角直球でへし折って三ゴロ。3回1死一、二塁ではラミレス、李を変化球でしとめた。大石監督は「低め低めがよかった。白星は大きいし、内容がよかったのも大きい。本当に帰ってきたな、という投球」とほめた。

 昨年は右ひじ手術を受け、1軍登板なし。今年、先発「6本柱」の1人として復活をかけたが開幕前からストレス、疲労から来る胸のむかつきに見舞われた。「逆流性食道炎」で食事をとれず体重は5キロ以上減、ユニホームはぶかぶかになった。団子など間食を意識的にとって体重をようやく2キロほど戻した。体に力が入るようになったのは5月に入ってからだ。

 いきなりの巨人戦。清川投手コーチにささやかれた「相手の数字は気にするな。自分のインスピレーションを大事にしろ」という言葉を信じ、打者の様子を「本能」で感じて投げた。

 「今日はバテました。全快ではない。どんどん練習して疲れない体をつくりたい」。元エースの本当の逆襲が始まった。【柏原誠】

 [2009年5月25日8時27分

 紙面から]ソーシャルブックマーク