<中日10-4日本ハム>◇25日◇ナゴヤドーム

 日本ハムが自慢の堅守の乱れで中日に連敗した。2-3の1点差で迎えた7回裏、ルイス・ヒメネス内野手(27)の何でもない一塁ゴロのエラーから始まったミスが傷口を広げ、今季ワーストの1イニング7失点で勝負が決した。前日まで失策数は両リーグ最少の14を誇っていたが、この試合だけで3失策を記録。守備のほころびが、1日西武戦以来約1カ月ぶりの連敗という結末につながった。

 日本ハムの持ち前の堅守が、ほころんだ。1点を争う好ゲームの緊迫の糸が突如、緩んだ。1点のビハインドを背負う7回裏1死無走者からだった。谷繁の平凡なゴロ。ヒメネスが正面に入らず、軽率に、体の右側で打球を処理しようとして後逸した。ムードが一変する失策から、負の連鎖が始まった。

 続く小池の打席でも、ヒメネスは記録に表れない「失策」といえる、怠慢プレーを犯した。カウント1-2からの送りバントは、一塁線への小飛球。ファウルになったが、しっかりとチャージしていれば捕球できていた可能性もあった。もう1つ、三塁手・小谷野のわざとバウンドさせた送球も後逸。小谷野に失策が記録されたが、非があるのはヒメネスだった。真喜志内野守備コーチは「オレは(戦力として)いらん。話にならん」と激怒する致命傷だった。

 この試合前まで今季は14失策は12球団最少。好調な打撃陣ばかりがクローズアップされていたが、首位を快走する生命線が守備だった。1イニングで今季初の2失策で、同ワースト7失点。荒木の左前へのテキサス安打は、遊撃手・金子誠、中堅手・糸井、左翼手・森本の連係ミスで捕球できずに招いた。ブランコの右越え二塁打は、稲葉が猛烈に前進してバウンドが合わずに二塁打にした。カバーしようとする積極性が空回りし、ミスがミスを呼ぶという型だった。

 5回には捕手・大野が打撃妨害捕手失策となるため、これまた今季初の1試合3失策。3連敗を記録した1日西武戦以来約1カ月ぶりの連敗となったが、梨田監督は「言い方は変だけど、いっぺんに悪いところが出てよかった」と前向き。ただヒメネスは「人間なら誰だってミスはある。エラーしただけだ」と居直った。8回から助っ人に代わり、中田が1軍で初めて一塁守備を任されて途中出場した。そんな「守備デビュー」は何の盛り上がりもない、もの悲しい、切ないシーンだった。【高山通史】

 [2009年5月26日10時35分

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