<阪神2-3ロッテ>◇26日◇甲子園

 どうしたJF、勝利の方程式が決まらない…。真弓明信監督(55)の奇襲先発阿部が決まり、江草-アッチソンとつないだ。完ぺきなリレーと思われたが、ウィリアムス、藤川球児がまさかの失点。守護神、球児は今季本拠地甲子園で5戦4失点し、防御率は5・40、全3敗が聖地と「魔の甲子園」が続いている。

 あれだけ慈愛に満ちていた甲子園の女神が、藤川につれない。打ち取ったつもりのサブローの邪飛が狩野のミットからこぼれて仕切り直し。2球目を右翼後方に打ち返され、二塁から西岡に決勝のホームインを許してしまった。同点の9回表。藤川が痛恨の失点で早くも今季3敗目だ。

 「ぼくは流れを止めるのが仕事。それがまっとうできていないので、申し訳ないです」

 連勝がストップした責任を一身に背負うように、藤川は話した。先頭西岡に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びても動じず、福浦を三振に仕留めた。うるさいサブローから2死目を奪ったかに思えた矢先の落球-。ショックをかき消すように投じた1球が決勝打になった。

 今季の3敗はすべて甲子園。失った4点はすべて甲子園でのゲームだ。本拠地登板で無失点は25日の1度のみ。藤川の登場が勝利の六甲おろしに直結しない現実は、借金返済を目指すチームに何とも辛い。

 苦しんでいるのは守護神だけではない。ウィリアムスも痛い失点を喫した。1点リードの8回。2死一塁から追い込んだベニーを四球で歩かせてピンチを広げ、今江に同点打を許した。

 藤川とは対照的に、無言でクラブハウスに消えた。こちらは今季7失点目で、防御率3・86。03年には52試合、07年には60試合に登板して年間9失点だった左腕にしてみれば、首をかしげるしかない不安定さだ。

 下柳からのリクエストにこたえて、今年も投手陣の結束を高めるリストバンドを作成した。来日7年目、助っ人の枠を超えるリリーバーが出てくれば、勝利はすぐそこにあるはずだった。今季18試合でホールドがわずかに7と、勝利のリレーをつなげないケースが目立つ。

 「がんばるしかないです」と藤川は言った。阿部先発というローテーションの谷間の1戦をしのぎながら、最後に勝ちパターン継投の2人で逆転された。1敗という数字以上に、暗雲感を強める現象だ。

 [2009年5月27日11時6分

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