<日本ハム8-2阪神>◇30日◇札幌ドーム

 日本のエースを相手に失策、暴投のオンパレード。これでは勝てるはずがない。札幌に乗り込んだ阪神は、日本ハム・ダルビッシュとの5度目の対戦でも勝てなかった。4回までノーヒット。天敵に7回4安打10三振とひねられた。逆に守備の乱れで2回までに4失点。阪神は連敗で、借金は今季ワーストタイの7、首位巨人とは今季最大の11ゲーム差に広がった。

 4度打席に立っても、ひと振りにかける思いは変わらなかった。劣勢の中で、桧山進次郎外野手(39)が猛虎の意地を見せた。先頭打者で迎えた5回表。ダルビッシュの150キロ直球を鮮やかにはじき返した。今年で40歳のベテランが若さに屈することなく、チーム初安打を記録した。いつもとは違うチャンスメークの場面だったが、しっかりと反撃のホームを踏んだ。「勝たんとアカンからね…」。敗戦に表情は厳しかった。今季初のスタメン出場でも、やはり「神様」は頼りになった。

 桧山スタメンは真弓阪神で捨て身の一手とも言える。交流戦の直前に、指名打者の要員として、林や今岡らの名前を挙げていたが、桧山はあえて外していた。真弓監督はその理由を明かしていた。「確かに4打席立たせた方がいいかもしれないが、ここぞというチャンスで、最高のバッターを取っておきたい。スタメンだとどういう場面で回ってくるか分からないから」。この日は走者のいない状況で3度打席に立った。代打の切り札の起用としては、もったいない感はある。それでも指揮官は“禁”を解いた。チャンスの少ないダルビッシュに対し、序盤から攻勢をかけるためだった。代打の駒が迫力不足になるリスクを負っても、勝負に出た。

 勝利に結びつかなかったが、桧山も十分に期待に応えた。6回表1死一、三塁の好機では、右翼にライナーを放ったが、相手の攻守に阻まれた。07年の交流戦では4打数2安打と攻略。その相性の良さは健在だった。スイングも鋭く、結果は1安打だが、好調はキープしている。「また、次、がんばります」。そう言い残して、帰りのバスに乗り込んだ。守備のミスが目立ち、借金7と苦境に立つが、桧山の存在感は明日への希望をもたらしてくれる。

 [2009年5月31日12時6分

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