楽天野村克也監督(73)が12日、難色を示していたレンジャーズ福盛和男投手(32)の楽天復帰に一転、GOサインを出した。当初は「頼むから残ってくれと慰留したのに、何でいまさらというのがオレの考え」と、獲得には否定的だった。だがこの日のKスタ宮城での練習中、「昨日にホテルで会ったよ。楽天で(野球が)したいですって。謝罪兼依頼だな。前向きに考えると言っておいた」と明言。態度を軟化し早ければ13日にも入団テストを行うことになった。

 誠意を感じたからこそのGOサインだ。11日の試合後、仙台市内のホテルに野村監督が戻ると、スーツ姿の福盛が待っていた。「説教しておいたよ。お前のおかげで、おれは今年でクビだと嫌みも言っておいた」とチクリ。それでも「(以前は)こっちの個人的な感情でものを言っただけ。彼にしたら大変だろう。職もないし。おれは情にもろいからな」と、前言を撤回した。米田球団代表も「もともと獲得する方向で動いていた。監督が合意してくれたので。パフォーマンスを見てから支配下登録か育成か決める」と説明した。

 テストに向け福盛も準備を進めている。この日は仙台市内でランニングなどトレーニングで汗を流した。約10分間の直接会談には「緊張しましたけど(監督に)お会いできてよかった」。07年の渡米前、野村監督から「(米国から)泣いて帰ってくるなよ」と温かい言葉をかけられた男は「監督の言う通り泣いて帰ってきました」と、心情を打ち明けた。断固NGから急転しての入団テスト。「楽天福盛」復帰が、急速に近づいてきた。【小松正明】

 [2009年6月13日8時55分

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