ロッテのボビー・バレンタイン監督(58)が26日、今季限りでの退団を正式に決断した。千葉市内の室内練習場で練習後、異例の声明文を発表し、決意を表明をした。自ら用意したA4紙1枚の声明の中で「今シーズン限りで私がロッテを去ることが重光家、そして千葉ロッテマリーンズにとって最善の道であると実感し、決断した。ロッテの野球をもう1度、楽しいものにするための決意と考えてください」と、初めて退団を受け入れ、後半戦へ向けて巻き返しを誓った。

 バレンタイン監督がついに白旗を揚げた。これまで来季以降の契約延長も見据え、退任について明言を避けてきたが、後半戦開幕を前に自らケジメをつけた。「先週、重光オーナー代行と昨年7月以降初めて2人だけでお話しをすることができた。私が去ることが重光家、そして千葉ロッテマリーンズにとって最善の道であると実感し、決断した」と、直接会談で退任を決意したことを明かした。

 04年からロッテで2度目の指揮を執る同監督は、05年に31年ぶり日本一に導くなど手腕を発揮し、人気、実力両面でチームに貢献した。だが一方で、4億5000万円(推定)の高額年俸と全権を掌握した独断的な手法でのトラブルも生じ始め、昨年12月に4年契約が終了する今季限りでの退任が通達された。

 異例のシーズン前の通達で、フロントとの確執が表面化し、一時はファンも巻き込むお家騒動が勃発(ぼっぱつ)。その影響もあってか、選手のモチベーションも低下、前半戦を終えて5位と不振が続いている。

 このタイミングで発表したことについて、石川晃副代表は「後半戦はチーム一丸となって戦いたいという監督の気持ちの表れでしょう。フロントとしては最後まで監督をバックアップする気持ちに変わりはない」と受け止めた。西村ヘッドコーチは「ミーティングで初めて聞いた。残り59試合。我々コーチ陣も結果を出していかないといけないし、引き締めてやるしかない」と話した。

 前半戦最終戦となった22日の日本ハム戦(札幌ドーム)では、「選手たちの足を引っ張る出来事もあり、楽しんでプレーさせることができなかった」と反省の弁を述べていた。この日の決意表明で周囲の雑音をシャットアウト。「千葉ロッテの野球をもう1度ファンの皆さん、チームの皆にとって楽しいものにするための決意だ」とも話した。

 監督の心意気に、選手も気合を入れ直した。渡辺俊は「ボビーのために楽しんでプレーします。選手だったら監督の気持ちを感じるでしょう」。バレンタイン監督に才能を見いだされ、05年日本一に貢献し西岡も神妙な面持ちで口を開いた。「僕や今江さんは監督に育ててもらい、感謝すべきことはたくさんある。これからもしっかり自分のプレーに集中したい」と話した。

 [2009年7月27日9時3分

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