え!?

 オビちゃんが新人王候補?

 プロ野球は28日、後半戦が始まる。首位巨人は首位攻防3連戦(東京ドーム)でウィルフィン・オビスポ投手(24)を先発に立て、8連勝中の中日を迎え撃つ。オビスポは開幕2軍スタートながら、先発ローテに入った7月だけで3勝負けなし。育成からはい上がって新人王資格を得た大穴が、恐竜打線を初戦で封じ込めて勝利をもたらし、ヤクルト由規、巨人松本らが争う新人王戦線に殴り込みをかける。

 思いも寄らない事実を知り、オビスポは驚いた。「オレにも新人王資格があるの?

 本当か。名誉なことだよ。うれしいね」。愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔で大きな目を見開いた。

 投手の新人王資格は支配下選手登録から5年以内で、通算投球回数30回以内。オビスポは07年の来日から昨季まで、計1回しか投げていない。だが、セ・リーグのアグリーメントに「外国のプロ野球機構に所属した者をのぞく」(第59条)とあり、レッドソックスやレッズ傘下のマイナーリーグでプレーしていたオビちゃんに新人王の資格はないはずだが…。

 実は、オビちゃんのケースは特例だった。育成選手として入団。ほかの外国人選手のようにバリバリの戦力として来日したわけじゃない。そういう点を考慮され、去年、連盟会長の裁量で新人王資格が認められていた。

 現時点の有力候補は投手ではヤクルト由規。5勝5敗、防御率3・44を残している。対するオビちゃんは、ここまで3勝0敗、防御率1・82。「僕はシーズン途中から1軍。由規と比べたら難しいかな」と控えめだが、内容では由規を上回る。1軍外国人枠(4)の関係で今後も登板機会は限られるものの“勝率100%”のオビちゃんなら、後半戦の活躍次第で逆転新人王の可能性は十分ある。そのためにも、首位攻防3連戦の初戦は落とせない。「目の前のチャンスを一生懸命、生かしたい」。獲得すれば外国人として史上初。歴史の1ページを刻むべく、中日相手にオビちゃんの右腕がうなる。【古川真弥】

 [2009年7月28日8時43分

 紙面から]ソーシャルブックマーク