<ソフトバンク2-6オリックス>◇28日◇長崎

 ソフトバンクの後半戦は黒星スタートとなった。先発大隣憲司投手(24)が1試合3発を浴び、自己最短3回5失点KO。前回7日の対決で決勝打を浴びたオリックスの主砲カブレラには予告した「内角殺法」で攻めたが2被弾の返り討ちにあった。05年に現球団名になって以降の通算350勝とクライマックスシリーズ(CS)進出マジックの点灯はお預け。29日は本拠地で仕切り直しだ。

 開幕黒星の責任を背負った左腕はベンチで地蔵のように固まった。大隣が3回までに3被弾し5失点降板。いくら好調な打線でもハンディが大きすぎた。「内容がよくなかった」。敗因をはき出す表情はこわばっていた。

 大隣は初回のカブレラに2ラン。そして3回はフェルナンデスに2ラン、続けてカブレラへ2打席連発となるソロを献上した。被弾劇には“伏線”があった。

 前回7日の敵地での対決。1-0から同点とされた直後の7回1死一、二塁。大隣は追い込んだカブレラに対し、外角フォークで勝負した。田上のサインに首を振って選択したが、外国人特有の長いリーチでとらえられ、決勝点タイムリー。あまりの悔しさに翌8日は通訳を伴い、本人に何の球種を狙っていたのか、異例の突撃取材を試みたほど。3週間ぶりの再戦に「内角を意識させないと。外一辺倒ではだめ。のけぞらせるぐらいにしないと」と内角殺法を予告していた。

 カブレラへの1本目はその内角低めのスライダー。カウント1―1からファウルにするつもりの球をすくい上げられ、左翼ポール際へ。3回のフェルナンデスは内角直球だった。そしてもう1度、カブレラ。第1打席の反省から直球攻めしたが、最後は内角直球を左翼場外へ。見事に返り討ちにされた。

 自己最短となる3回で仕事場を去った大隣は「狙ったところに投げきれていなかった」と反省の言葉しか出ない。もちろん高山投手コーチはおかんむり。「あれじゃ、攻撃ができない。よーいドンでああやられたら野手も『さあっ』ていう気にならない」。

 昨季の16被弾に早くも並び、リーグ最多の西武岸に1本差。1試合平均1・14本のペースで打たれており、86年山内孝徳の39本塁打(33試合)の球団記録に迫りそうな勢い。秋山監督は「大隣君ねえ…。6連戦の頭だったのに。球が切れてないし、来ていない」と、後半戦のスタートミスに不満を募らせた。

 首位日本ハムとは6月13日以来の2ゲーム差に広がった。勝てば05年球団名変更後通算350勝、さらにCS進出マジック点灯の可能性もあっただけに悔しさが残る。今日29日の本拠地で仕切り直すしかない。【押谷謙爾】

 [2009年7月29日11時20分

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