日本ハムが、今秋のドラフト1位指名の有力候補、花巻東・菊池雄星(3年)を密着マークすることが17日、分かった。菊池が選ばれることが濃厚な、日本高校選抜の米ロサンゼルスでの親善試合(9月1~9日)へスカウトを派遣する方向性を固めた。山田GMらを含め派遣メンバーは調整中。来季以降の補強ポイントの1つである左腕で最速153キロの逸材だけに、異例のシフトで最終チェックすることになった。

 日本ハムが、ダルビッシュと双へきになる可能性を秘めた、左の大器をターゲットの1人に定めた。スカウト陣が海を渡り、最後の最後まで花巻東・菊池をチェックすることを本格検討している。最終決定はしていないが、山田GM、スカウトトップの大渕シニアディレクターらを含めた数人が渡米する予定。球団関係者は「決定まではしていないが、その方向で調整している」と話した。ドラフトの目玉を、ロサンゼルスまで追いかけることになりそうだ。

 逸材に、異例の態勢を敷くことになった。日本高校選抜は例年、海外遠征を行っているが、球団はその年によって派遣するかどうかを判断。ダルビッシュを単独指名した04年はアジアAAA野球選手権が行われた台湾でのプレーを視察し、指名の最終方針を固める判断材料の1つになった。今回、菊池が選抜されることが濃厚なことで、ほか数人も含めた高校生の上位指名候補選手を徹底マークする決め手になった。

 今後のチーム強化を考えた上で、菊池は魅力的な存在だ。若手右腕は23歳のダルビッシュという軸がいるが、先発陣の左腕に絶対的な存在がいない状況。1年目に5勝を挙げ期待されていた3年目の吉川が伸び悩み、須永は6年目でいまだ未勝利。武田勝、八木と大学、社会人を経た即戦力は活躍しているが近年、高卒選手の次世代が、やや手薄なチーム事情を加味すれば、ドラフトの有力な1位指名候補だ。

 10年ドラフトは現在の見込みでは、早大の斎藤佑樹(早実)大石達也(福岡大大濠)の両右腕ら大学3年生の即戦力に、上位指名候補が豊富。競合覚悟で菊池指名に踏み切る可能性は十分あるだけに、最後の最後まで包囲網は緩めない。

 [2009年8月18日8時58分

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