<ロッテ2-2ソフトバンク>◇27日◇千葉マリン

 ソフトバンクのスーパールーキー摂津正投手(27)が、金字塔を打ち立てた。今季32ホールドポイント(HP)目を挙げ、06年に同僚の藤岡がマークした新人最多記録を抜き新記録を樹立。「記録を達成して満足してしまうんではなく、意識しないで(今後も)やっていきたい」。マウンド同様に落ち着き払った口調で、大記録を振り返った。

 サヨナラのピンチでも相変わらず、動じることはなかった。2イニング目のマウンドとなった延長10回裏。不運な内野安打などから1死満塁と絶体絶命の危機を迎えた。打席には前日に決勝弾を放った3番今江。2球で簡単に追い込むと1球高めの見せ球を挟み、外角スライダーでニゴロに仕留めた。「あの場面は絶対に抑えてやろうと思った」と摂津。外野フライすら許されない場面で、前夜のヒーローを冷静に料理した。

 それでもなお二死満塁。脳裏に過去の嫌な記憶が浮かんだ。4月17日、同じく千葉マリンでのロッテ戦。延長戦に突入した試合は、11回裏1死満塁で、摂津がサブローに押し出し死球を与えサヨナラ負け。登板4試合目だった摂津はプロ初黒星を喫した。しかしそこから51試合「勝利の方程式」の一角として、緊迫したマウンドばかりを経験。「そういう場面でやれているのが非常に大きい」と話す右腕が同じミスを繰り返すことはなかった。大松に対し、2-3のフルカウントまで粘られたが、最後は真ん中高めへ147キロの直球。バットが空を切った。

 打線がチャンスであと1本が出ず、1つの白星も挙げることができなかったロッテ3連戦。皮肉にも新人セットアッパーのすごさだけが際立った。【倉成孝史】

 [2009年8月28日11時25分

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