<オリックス3-6楽天>◇5日◇京セラドーム大阪

 楽天田中将大投手(20)が8回12安打を浴びながら3失点でしのぎ、15勝目を挙げた。春季キャンプで野村克也監督(74)が掲げたノルマ「15勝」に到達し、約束の腕時計をもらうことになった。楽天は試合のなかった3位ソフトバンクに1・5ゲーム差として2位確定まで残り5試合でM3とした。

 また1つ、大きなハードルをクリアした。楽天田中が15勝目を挙げた。中9日の登板は、シーズン通して蓄積した疲労を癒やしてくれた。「バランスは良かったですね。走ってましたね」と、納得の直球を武器に、6回までは「0」を並べた。4回のアウトは、すべて直球で見逃し三振。ローズにはインハイ150キロ、後藤も内角に151キロ。阿部は外角寄り149キロ。コーナーに制球された直球を連発した。

 久米島の約束もクリアした。今春のキャンプ中、野村監督から「15勝したら好きな時計をやる」とニンジン作戦を持ち掛けられた。「今年の楽天の命運は、彼が握っている。『15勝3敗だぞ』って、言っておいたよ。15勝したら、好きな時計を持っていっていい。早く持っていかないと、カツノリに取られちゃうよ」。コレクションの中には、1個1000万円もする時計もあるが、同監督は惜しげもなく言い切った。田中も「そんなに期待されているなら、裏切らないようにしたい」と、久米島の空に15勝を誓っていた。

 約8カ月前の約束を果たし、田中は「時計、お願いします!

 監督は忘れているみたいですけど、新聞に書いておいて下さい」と、笑顔で念を押した。田中が歓喜の発言をしていたその時、野村監督は会見場で話していた。「時計?

 オレがもらいたいよ。『はい、おめでとう!』っていう15勝じゃない。防御率はいくつだ?

 2・33?

 そこは辛うじて合格だな」と、クライマックスシリーズ(CS)での快投を見るまでお預けと話した。

 7回に2死走者なしから3点を失い同点にされた内容に、田中自身も「守り切って勝たないとダメな試合」と反省しきり。それでも、レギュラーシーズン最後の先発を白星で飾り「15っていう数字を目標にしてやってきたので、形はともあれ、15って数字を残せたのはよかった」と話した。次回先発はCS。「もうひと頑張りしていきたい」と大舞台での快投を誓った。【金子航】

 [2009年10月6日9時26分

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