<パCS第2ステージ:日本ハム2-3楽天>◇第3戦◇23日◇札幌ドーム

 2-3の9回2死、糸井が放った左翼への大飛球が失速したのを見届けた日本ハム梨田昌孝監督(56)は、ベンチでうっすらと笑みを浮かべた。「嘉男の力ならひょっとしたらと思った。田中はいいピッチャー。あの点差で完投するんだから、すごい。でも形としてはいいゲームだった」。今季最多タイ4万2328人の前で初戦のような奇跡は起きなかった。だが場内には、好ゲームへの拍手と、3勝しているという余裕が満ちていた。

 今季3戦全敗の難敵は、ポストシーズンでも日本シリーズ進出への最後の壁となって立ちふさがった。田中の前に、6安打と抑え込まれた。1点差に詰め寄った8回には150キロ台の直球を連発され、2死一、三塁の好機に先制弾を放っていた高橋が三振に倒れた。「打てるボールが1球もなかった。エース級のピッチャーは簡単には点を取らせてくれない」。素直に脱帽したことが、攻略の難しさを物語っていた。

 それでも、2つの事実が浮足立つ気持ちを落ち着かせる。王手をかけている絶対的優位な立場と、永井、岩隈、田中の3本柱を相手に2勝1敗と勝ち越した結果。指揮官は「運もよかった部分はあるけどね。明日も全力で頑張ります」。週末を迎える札幌の街に楽しみを持ち越した。【本間翼】

 [2009年10月24日9時39分

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