巨人木村拓也内野手(37)が7日、今季限りの現役引退を表明した。札幌市内の宿舎で会見し「シリーズ前には自分の中で気持ちを固めたつもりでした。すごく充実した毎日を過ごさせてもらいました」と、日本一となった日に19年間の現役生活を終えることに満足感を漂わせた。

 球界きってのマルチプレーヤーだった。宮崎南では強肩捕手としてならし、91年の日本ハム入団後に外野手転向。94年オフの広島移籍後は内野手も兼ねた。両打ちもマスター。現役の中で唯一、投手以外の全ポジションを守った選手だった。「そのときどきで、この体で生き残っていくために、いろんなことを考えました」。公称173センチ、75キロと小柄ながらチームに欠かせない存在だった。9月4日のヤクルト戦では、死球退場などでベンチに捕手がいなくなる緊急事態。10年ぶりにマスクをかぶり、延長12回の1イニングを無失点に抑え、優勝争いのチームを救った。

 球団からはコーチ就任を要請された。「選手の力になれるよう頑張りたい」と快諾。練習熱心で、誠実な人柄は誰からも好かれた。これからは「第2のキムタク」を育てる。【古川真弥】

 [2009年11月8日8時20分

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