<セ・パ誕生60周年記念試合:プロ選抜1-1大学日本代表>◇22日◇東京ドーム

 マエケンが佑ちゃんに完勝!

 先発した広島前田健太投手(21)が、圧巻の内容を見せつけた。1回を投げ、9球で3人をピシャリ。相手先発は同い年の早大斎藤佑樹投手(3年=早実)だったが、こちらは1回1失点。同世代のライバルを前にして、存在感を知らしめた。

 プロの血が騒ぐ真剣勝負だった。21歳の前田健が、大学球界のエースを前にして全力で右腕を振るった。三塁側ファウルゾーンでキャッチボールするハンカチ王子こと斎藤も注視する。先発で迎えた初回のマウンドは冷静でいて、力量の差を見せつける内容だった。

 前田健

 1イニングだったので、僕はとりあえず抑えようと。リラックスして普通に入れました。投げにくさはありませんでした。

 広島の誇る若きホープに来年ドラフトの目玉も歯が立たなかった。先頭の東海大伊志嶺を初球速球で押して一邪飛に料理。法大多木には2球で追い込み、内角速球をズバッと決める。バットは動かず、アウトカウントを重ねた。19日まで大分・湯布院でリハビリキャンプに参加したが、それでも最速146キロをマーク。9球で無失点に抑え、貫禄(かんろく)の結果を示した。直後に先発した斎藤が1回1失点。苦しみながら投げた内容とは好対照だった。

 前田健にとって、同学年の斎藤とは浅からぬ因縁がある。PL学園高時代には練習試合で早実の斎藤と打席で対戦。まだ「ハンカチ王子フィーバー」が起こる前の出来事だった。この日の試合前には、しばし談笑にふけった。前田健は「世間話ですよ」と振り返る。ともに白球を愛する仲間。高卒2年目の昨季から1軍で先発ローテーションに入る前田健にとって、胸を躍らせる試合でもあった。自身は1回無失点で降板したが、次々と登場する大学生投手の力投に触発された。

 前田健

 投げているのも僕と同級生が多い。うれしかったですね。(斎藤とは)プロで投げ合いたい。

 三塁ベースコーチとして参加した野村監督も「やりづらかっただろうが、しっかり投げてくれたと思う」とねぎらった。この日投げた同い年の大学生投手は5人。来秋のドラフトでプロ入りを目指す“同志”だ。前日21日には「僕はプロでやっているので、負けないようにしたい」と話していた。プロの意地をぶつけ、圧倒的な力を見せた。スターダムを駆け上がる前田健にとって、また1つ発奮材料が増えた。【酒井俊作】

 [2009年11月23日11時58分

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