赤毛の切り込み隊長だ!

 阪神がマット・マートン外野手(28=ロッキーズ)を獲得することが8日、明らかになった。米大リーグロッキーズがこの日、同選手をウエーバー公示することを発表した。投手を中心に新外国人補強を進めていた阪神は水面下で外野手強化も画策。候補に定めていたマートンが自由契約になることで、交渉は今週中にも合意に達する見通しとなった。1、2番タイプで守備力に定評のあるマートン取りで、中堅赤星や右翼桜井をバックアップする万全の布陣を組む狙いだ。

 V奪回への戦力補強が、また一歩前進する。マリナーズを退団した城島健司捕手(33)を大型補強している阪神が外野手の新助っ人も獲得することになった。コロラドロッキーズに所属していたマット・マートンで、ロ軍がこの日、ウエーバー公示を発表。合わせて「日本の阪神に入団する方向」とアナウンスし、交渉合意は目前となった。

 阪神は今オフ、中継ぎのアッチソンとウィリアムスが退団。真弓明信監督も「2人抜けたところを外国人で補いたい」と助っ人補強は投手を優先させてきた。その一方で外野手の補強も水面下で画策していた。

 センター赤星が頸椎(けいつい)の椎間板(ついかんばん)ヘルニア悪化で9月13日に登録を抹消されたままシーズンを終えた。懸命のリハビリで来季開幕を目指しているが、フルシーズンを万全の体調で過ごせるかは不透明。また右翼レギュラーの候補に桜井、林、葛城と名前が挙がるが、いずれも守備力に不安を抱えている。

 「ブラゼルは残留するので、獲得するなら外野手」と沼沢正二球団本部長は話した。弱点を補う観点から「守り」を重視して新外国人を選定し、右打ちのマートンが候補に残った。

 ただのバックアップ要員ではない。本塁打こそメジャー5年間の通算で29本と目立った成績ではないが、打率2割8分6厘、出塁率3割5分2厘と安定した数字を残している。メジャーデビューして2年目の06年にはカブスで開幕戦に先発。8月3日に4打席4二塁打という1試合最多二塁打記録をつくった。

 赤星の代役、または右翼の一角として先発する場合、今季3Aで12盗塁したマートンは、チーム全体のバランスから見ても1番か2番で起用される可能性が高い。阪神で過去、開幕戦で1、2番に外国人が座ったのは82年に2番だったアレンまでさかのぼる。前年にはデードが1番を打っているが、大砲に偏りがちな助っ人が1、2番でプレーするのは実は数えるほどしかいない。

 カブスでは05年から3シーズンで289試合に出場とレギュラー級の活躍。阪神ファンと同様、熱いことで知られるシカゴのファンの間では、マートンの特徴である赤毛の髪をつけて球場に来ることが流行ったこともある。赤毛の人気者が上位打順でかき回し、鳥谷、金本、城島、新井…が控える分厚い中軸にチャンスを供給する。得点力アップで巻き返しを図る阪神が、助っ人野手補強でスキのない態勢を整える。

 [2009年12月9日11時36分

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