日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が、早ければ今季終了後にもメジャーへ挑戦する可能性があることが12月31日、明らかになった。ポスティングシステム(入札制度)を検討していることを、大リーグ関係者が明かした。球団側は移籍希望した場合、ダルビッシュの意思を尊重する方向性を固めている。プロ入り6年目で国内NO・1投手の呼び声高い右腕が、ステップアップを目指す10年が幕を開けた。

 ダルビッシュが米球界へと羽ばたく可能性が出てきた。シーズン後にもポスティング移籍をするかもしれないという情報を、メジャー球団がキャッチ。米球界関係者は「今年が終わったらメジャーへ来るかもしれないという話を、こちらでは聞いている」と明かした。

 米移籍可能な海外FA権を取得できるのは14年オフだが、取り巻く状況も現実味を帯びてきている。ダルビッシュは入団時から、メジャー志向を否定してきたが、周囲の関係者によれば心境は変化しているという。昨年3月のWBCなど国際大会を経験。特にWBCではアリゾナ州での合宿などで、本場の環境、空気にも触れた。入団当初は海外は旅行ですら拒絶反応を示すこともあったが、自分自身で体験したことで抵抗はなくなった。

 全幅の信頼を置く父ファルサさんはかねて将来的なメジャー挑戦に関して、肯定的な姿勢を見せている。周囲の助言にも耳を傾け、冷静に動向を判断するタイプなだけに、可能性は増している。昨年11月に都内で行われたWBC祝勝会で、次回開催予定の13年の身分がプロ野球選手か、メジャーリーガーかを問われ「いや…、それはもういいじゃないですか?」と含みを持たせたことが、風向きが変わった証しでもある。

 球団の了承がなければ利用できないポスティング移籍になるが、支障はない見通し。球団にとって不可欠な戦力ではあるが、ダルビッシュ側が米希望の意向を示せば尊重する方針。昨季で入団して5年だが、日本一1度を含む3度のリーグ制覇に貢献するなどの功績を加味し、慰留希望を伝えはするが、最終的には認めるのが確実な状況になっている。

 過去にも巨人小笠原、レッドソックス岡島のFA移籍希望を、慰留せず認めてきただけに、ダルビッシュも同様の円満移籍で挑戦させる親心を示しそうだ。

 ポスティングならば、06年オフのレッドソックス松坂クラスの争奪戦になることは必至。米球界も不景気の影響を受けているだけに、その時に投じた5111万ドル(当時約60億円)以上の入札額は厳しいかもしれないが、年齢も若いため、同等に近い評価を受けることは確実。ダルビッシュの今季の活躍以上に、シーズン後の動向が楽しみになってきた。

 [2010年1月1日9時10分

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