急逝した日本ハム小林繁1軍投手コーチ(享年57)の通夜には、巨人、阪神で活躍した同氏を悼んで関本四十四氏、新浦寿夫氏、川藤幸三氏、前レンジャーズ大塚晶則投手、前ジャイアンツ藪恵壹投手ら、ゆかりのある球界関係者らが参列。300人が駆けつけ、故人をしのんだ。

 残した足跡を表すように、約250の献花が祭壇を囲んだ。巨人長嶋茂雄終身名誉監督、ソフトバンク王貞治球団会長をはじめ「江川問題」の江川卓氏、楽天を除く11球団の監督名で供花された。阪神の先輩として慕ってきた藪は「いろいろあったでしょうけれど、すべてをのみ込んでタイガースで投げていた姿が印象に残っている」と目を潤ませ、思い出を語った。

 運命に翻弄(ほんろう)された、同氏を象徴するような秘話も明かされた。法名は「球愛院釋静繁(きゅうあいいんしゃくせいはん)」。喪主を務めた静子夫人が、野球と2人の名前から1字ずつとって決めたという。約7年間の交際を経て08年12月に同夫人と結婚。1軍コーチに就任した今年から札幌でマンションを借り、2人暮らしを始める矢先だった。同氏は生前、札幌を愛妻と訪れていた。関係者によるとこの日、涙声で参列者へあいさつをした静子夫人へ、こう約束していたという。「シズちゃんのウエディングドレスの写真を撮ろうな」。果たせないまま、天国へと旅立った。

 日本ハムからは藤井球団社長、昨季までともに指導した2軍スタッフ、多田野らが参列。出席できなかった中田からはサイン入りバットが、同氏の関係者へ手渡された。告別式は20日正午から同所で執り行われる。

 [2010年1月20日10時25分

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