ソフトバンク和田毅投手(28)が29日、2月春季キャンプで「常識破り調整」に取り組むことを明かした。通常、投手は春季キャンプを投げ込み期に充てるが、和田はブルペン投球よりも走り込みに重点を置くことを明言した。すでに肩は仕上がっており、「21勝&200奪三振&200投球回」のビッグな目標クリアへ、マリナーズ・イチローばりの異例調整で勝負をかける。

 和田が常識にとらわれない完全復活プランを披露した。「走るのが自分の原点。投げるのは1月の段階でできたので、2月はもう一度基礎の部分をやりたい。体力を上げたい」。間近に迫った2月キャンプを投げ込み期ではなく、走り込み期に充てようというのだ。

 普通は「1月走り込み→2月投げ込み」のパターンが、投手の調整方法。だが和田は昨年左ひじを痛めて、3カ月以上も戦線離脱を強いられた。そのため昨秋キャンプで異例のブルペン投球を敢行。さらに、昨年12月を走り込み期とし、今年1月を投げ込み期とした自主トレを続けてきた。

 約2週間の1月ハワイ自主トレでは7度のブルペン入り。すでに肩はつくられている。「(キャンプで投げる)球数にこだわりはない。球数のことは考えずにやっていく。下半身をつくれば上半身はついてくる」と言い切った。

 もちろん、春季キャンプの実戦メニューには参加する。ただ、昨秋キャンプで全体練習後に取り入れた、キャンプ地・生目の杜運動公園からチーム宿舎までの約10キロランニングを「春もやるかもしれません」。個人メニューについては、ランニングやダッシュなど基礎練習を繰り返す姿がクローズアップされそうだ。

 「自分は、こういう意味があって、こういうトレーニングをやっているというのを理解している」と話す和田だからこそ、異例に見える調整法にも確信があるに違いない。和田の場合「投げ込み=勝利数」とは、つながらない。ルーキー時代の03年、キャンプ総投球数は384球。左肩違和感を覚えたため下半身強化メニューに大半を割き、シーズン14勝と新人王に輝いた。06年春には第1回WBC出場で最終クールを抜けたが、総投球数961球にとどまっている。それでも、同年もシーズン自己最多タイの14勝。データも後押ししている。

 異例調整で体力アップすれば、自身未経験の200投球回も見えてくるはずだ。21勝、200奪三振の目標にも近づく。昨年4勝に沈んだ背番号21が、型にはまらない調整法で逆襲のスタートを切る。

 [2010年1月30日11時39分

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