オリックスは小瀬浩之外野手(享年24)の転落死から一夜明けた6日、沖縄・宮古島キャンプ第2クール初日の練習を行ったが、自殺とみられる同僚の急死で選手の影響を考慮し、通常の半分に練習時間を短縮した。岡田彰布監督(52)は「どうしたらええんか分からん」とショックでタクトを振れない状況。7日の野球教室を急きょ中止し、8日以降の練習日程も白紙の状況だ。あらためて衝撃の大きさをうかがわせた。

 キャンプ期間中に選手が転落死するという前代未聞の悲劇。突然、オリックスを襲ったショックはこの日も続いていた。岡田監督をはじめ首脳陣、選手はユニホームの袖に喪章をつけ球場入り。練習前には2軍も集合し、スコアボード上で半旗にされた球団旗に向かって黙とうし、小瀬さんの冥福を祈った。

 小瀬さんと仲良しだった大引の目ははれ、今にも涙が落ちそうだった。「何でもっと力になってやれなかったのか。ただ自分の無力さを悔やむ。本当にすまなかった」。自身のブログでこうつづり、仲間を救えなかった自責の念にかられていた。三塁側の選手ロッカー室には小瀬さんの荷物が当時のまま置かれていた。

 練習中は選手のかけ声もBGMもなく、重苦しい空気に包まれた。観客もまばらで、柵越えが出てもヒットが出ても静寂な時間が続いた。「ワイワイ声を出して、とはならんわ」と岡田監督。練習は約半分となる2時間半で切り上げた。選手全員が無言を貫いてバスに乗り込む、異様な光景だった。

 岡田監督は「どうしたらええんか分からん。気持ちの整理とかできない。これは戦力の問題やない。亡くなってるんや」。心に大きな傷を負ったナインをどう奮い立たせ、導けばいいのか。「どこかで1回切り替えんと(開幕まで)日にちは待ってくれん。状況がはっきりせんし、明日だけは今日の感じやけど、あさってからは分からん」。通夜や告別式、球団の対応も協議段階とあって、8日以降の動きは白紙。今後、紅白戦など重要度が高いメニューにも影響が出ることは必至だ。

 7日の野球教室は急きょ、キャンセル。「また普通にキャンプができるようにせな。新たな気持ちでキャンプをもう1度始めないと」と言い聞かせるように声を絞り出した。

 [2010年2月7日8時49分

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