ソフトバンク大隣憲司投手(25)が、異例の「絶不調宣言」だ。宮崎キャンプの11日、ブルペンで42球を投げたところで納得いかず、ピッチングを中断。「この時期にここまで(調子が)上がらないのも珍しい」と不振を口にした。その後、休憩やランニングを挟み、2度目のブルペン入り。異例の調整で、絶不調からの脱出を図った。期待の左腕が苦しみながら、飛躍を目指す。

 大隣が首をかしげながら、ブルペンを1度、引き揚げた。ピッチングを開始して、42球を投じた後だった。シュート回転する直球に納得がいかない。「自分のイメージと違う。何かが違う。ホンマに腹立つわ」。いらだちを隠せない口ぶりからも不調がうかがえた。「この時期にここまで(調子が)上がってこないのも珍しい」。4年目を迎えたシーズン。過去にない不振が、背番号28を襲っていた。

 2度目のブルペン入りは、休憩、ランニングを挟み、1時間以上も後のことだった。最初はシャドーピッチングでフォームチェック。ただ、納得できないまま1日を終えるわけにはいかない。田之上投手コーチを相手に、ブルペンの傾斜を利用した投球に発展し、最後はブルペン捕手を立たせたままのピッチングに突入した。約30球を投げてフィニッシュ。まだ、すっきりとしない表情ではあったが、絶不調脱出の糸口はつかんでいた。

 首脳陣との話し合いで不調の一因は、首が一塁側に倒れていることにあるとされた。今季から取り組み始めたフォームも影響しているかもしれない。従来、大隣は右足を上げた際、両手の位置をひざ付近にセットしていた。だが、胸の位置まで上げるフォームに変更。調子が上がってこないことから、昨年までの投げ方に戻すことも視野に入れ始めた。

 大隣は20日の紅白戦登板が予定されている。「実戦には最低限のレベルで入っていく」。さらに、「今ボロボロの方がいい」とも付け加えた。ゲーム登板までは2クール(練習日は6日間)ある。きっとその間に、今季先発の軸として期待されるサウスポーから、絶好調宣言が飛び出すはずだ。

 [2010年2月12日11時29分

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