<阪神1-7広島>◇12日◇スカイマーク

 開幕ローテがくっきり見えた。阪神小嶋達也投手(24)が広島戦で5回1失点。3度得点圏に走者を背負ったが、いずれも4番栗原を打ち取って最少失点に食い止めた。新球チェンジアップを自在に操り、前回登板で制球を乱した反省を修正。佳境の開幕ローテ争いを、助っ人フォッサムとの一騎打ちに持ち込んだ。

 三たび、VTRのように似たシーンがセッティングされた。最終5回。2死後に連続四球で一、二塁のピンチを招いた。しかし小嶋は広島の主砲栗原に対し、今度も「あと1本」を許さなかった。カウント1-1からの直球で詰まらせ、遊ゴロに切ってとった。

 だが左腕は表情を緩めなかった。「調子自体は悪くなかったけど球数がかなり多くなった。1ストライクとってからの2球目ボールが多かった」と反省ばかり。当然だ。94球。苦しい5イニングだった。ただ終わってみれば失点は3回の「1」。何度ピンチにさらされても集中力を保った。

 初回に失策から1死一、二塁とされたが栗原を投ゴロ併殺。3回は梵に先制中前打を浴びたものの、最後は2死二、三塁で今度も栗原をスライダーで空振り三振。そして5回も栗原だ。調子が上がらない打者とはいえ、課題とする「対右打者」を注文通りに料理した。

 9日の日本ハム戦(京セラ)は2回3安打1失点と不安定だった。新球チェンジアップが浮くなど「球が全体的に高かった」と反省した。今回のテーマは低めに集めることと、持ち味であるストライク先行にすること。打者22人のうち12回が初球ボールと宿題は残ったが、勝負どころで低く、コーナーにまとめた。

 オープン戦3試合(10回)の防御率1・80。“開幕”への視界が開けた。前進かと問われた真弓監督は「小嶋の方はね。球威が落ちた時期もあったけど戻ってきた」と評価した。枠を争うライバル二神は打たれ、明暗がクッキリ。前日のオリックス戦で5回6失点だった同じ左腕の新外国人フォッサムと小嶋が、事実上の一騎打ちだ。

 「これだけチャンスをもらえている。目標は開幕1軍。何とか1軍に残れるよう、いいアピールを続けていきたい」。新人だった07年以来の開幕ローテへ。「何も考えていなかった」当時とは違う。3年前のドラ1左腕は明確な目標に向け、課題と修正を繰り返しながら力強く進んでいる。【柏原誠】

 [2010年3月13日11時47分

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