<巨人6-7阪神>◇16日◇東京ドーム

 オーナー謝罪でスッキリ。阪神の城島健司捕手(33=マリナーズ)が待望のオープン戦1号を放った。2回1死から左越えソロなど移籍後初の3安打と打ちまくった。さらに選手会長の鳥谷敬内野手(28)は勝ち越し3ランを含む2発、クレイグ・ブラゼル内野手(29)も同点2ランを放つなど打線が爆発した。オープン戦11位と元気のなかったチームだが、15日の激励会で坂井信也オーナー(62)がフロントの不適切な対応をわびた効果がさっそく表れた。

 敵地の空気を一変させた。大量4失点した直後の2回1死の初打席。城島は山口が投じた129キロのスライダーをたたいた。左中間に弾丸ライナーのオープン戦1号ソロ。「お客さんが多く入って、選手もアドレナリンが出て着実に開幕に近づいている。先っぽだったけど、東京ドームは狭いから。シーズンにとっておきたかったが、いいんじゃない」と言った。

 1回は、負傷交代した下柳と緊急登板の渡辺が5連続長短打を浴びて4失点。それを豪快弾で接戦に引き戻した。和田打撃コーチは「(城島は)流れや雰囲気を変えてくれるからね」と目を細めた。

 東京ドームでの初の巨人戦は、初ものずくめだった。4回の2打席目は左前打で出塁すると、1死後に桜井の2球目で初盗塁をマーク。一塁手高橋がベースを離れたスキをついて楽々と二塁を陥れた。「『走ってもいいですよ』という守備隊形なので挑戦した」と振り返った。

 実は、盗塁は日米15年で通算70個を記録している武器だ。「僕は盗塁の数じゃない」。相手に警戒させて一塁手がベースにつけば、一、二塁間のヒットゾーンが広がる。ただこの日は「次の打席も(一塁手が警戒して)ベースについてなかったからたいしてこたえてない」と笑った。

 6回にはマイケルから右前打を放ち、初の猛打賞もマークした。状況に応じ、ときに豪快に振り、ときにチャンスメークに徹する。相手のスキをつく走塁も含め、城島の存在感があらためて際立った。

 オープン戦は19打数7安打3打点、打率3割6分8厘。「開幕10日前にしてみれば、順調かな」。さりげない言葉に、手応えがにじんだ。【益田一弘】

 [2010年3月17日8時30分

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