日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が、個人記録封印を必勝テーマに掲げた。15日広島戦(マツダ)で、今季の交流戦で初先発が濃厚。20イニング連続無失点を継続中で、07年の自己記録25イニングへ挑戦する。チームは今季初の5連勝と勢い十分だけに、記録は「考えずにいきたい。勝てればいい」と雑音をシャットアウト。相手エース前田健との初の投げ合いが実現しそうな大一番に、全力投球する。

 ダルビッシュが欲を捨て、大黒柱の使命1つだけに集中した。継続中の連続無失点イニングの自己記録まで、あと5に迫っても、不動心だった。14日、神戸市内の宿舎から新幹線で単独で広島入り。「考え出すと打たれるので、そういうのは考えずにいきたい」と雑念を消した。

 つかんだ上昇気流を逃さないための献身的な決意だ。チームは交流戦開幕2連勝し、今季初の5連勝。最下位に低迷しているが、浮上の予兆が出てきた。「結果的になればいいけれど、0点に抑えるよりも勝てればいいくらいの気持ちでいく」。個人記録よりも勝利至上の投球で、試合をつくることが、勢いを分断しないための得策と見据えた。

 初めての投げ合いが濃厚な前田健に、日本ハムは過去3戦3敗と苦手にしている。ともに防御率1点台でセ、パの2位同士の本格派右腕。前回登板8日に9回を0-0で譲らなかった、楽天岩隈との投手戦のような展開になる可能性が十分ある。ダルビッシュは「いい打者が多い。この前もちょっと見ていたら、栗原さんとか調子が上がっている。(監督交代し)去年の野球と違う」と自己分析し、手綱を締めた。

 広島には昨季は2戦2勝で、05年のプロ初勝利を含め4勝1敗と好相性。「嫌なイメージを持ってくれていると思う」と少し自信を見せた。練習でセンスを見せつけ、交流戦ならではの打撃への色気も封印した。「前田健太はコントロールがいいので打てない」と苦笑しながら、マウンドに集中した。大仕事を遂げれば、自己レコードが自然と見えてくる。【高山通史】

 [2010年5月15日11時34分

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