<ロッテ3-1中日>◇19日◇千葉マリン

 雨には負けず、マメには負けた…。中日吉見一起投手(25)が右手中指の腹に血マメをつくった状態で7回3失点(自責1)と粘りの投球をみせた。小雨交じりの風が吹く悪条件でエースの意地をみせたが、打線の援護がなく5月の無敗記録は13試合目で途切れた。ロッテ戦の連勝も3で止まり、今季の連勝の6でストップ。落合監督の通算500勝も21日の西武戦(西武ドーム)以降に持ち越しとなった。

 吉見の右手中指には、大きな血マメが割れた状態で残っていた。前回12日のソフトバンク戦でできた勝利の代償だった。それでも辛抱強く投げ続けた。試合前から小雨が降り、風速10メートル弱の風が吹き続ける悪条件。痛みをこらえ、必死にボールを握ったが、勝利の女神はほほ笑まなかった。「初回に先制点を与えたことがすべてかなと思います。せっかく2死までこぎ着けたのに、しっかり粘ることができなかった…。マメは大丈夫でした」。

 1回先頭の西岡に右前打された。犠打で1死二塁となった後、井口を内角シュートで見逃し三振に打ち取ったが、続く金泰均にフルカウントからフォークを見送られて歩かせると、続く大松にフェンス直撃の左越え先制適時二塁打。コースは外角低めに決まったが「失投じゃなくても打たれたら一緒です」と、悔しがった。

 制球が持ち味の吉見が1回に失点したのは開幕戦以来、8試合ぶりだった。3回にも先頭荻野貴に左翼線二塁打を許し、味方の失策絡みなどで2失点。その後は粘り強く7回までゼロを重ねたが白星は遠かった。

 森ヘッドコーチは「ソフトバンク戦の後にマメができた時点で、18日は無理だと決めた。だから(昨日は)朝倉を行かせた」と、事情を明かした。吉見は当初の予定よりも1日余分に時間をもらい、回復に努めたが、実らなかった。

 これで08年から続いていた5月の無敗記録も12試合でストップ。これまで6勝2ホールドと負けなしだったが、不敗神話は13試合目で途切れた。ロッテ戦の連勝も3でストップ。今季の連勝も6で止まった。

 試合前には雨空を見つめ「中止にならないかな…」とつぶやいていたが、試合が始まれば、エースの意地で先発の仕事だけは果たしてみせた。「また次、頑張ります」。次こそ納得の投球で、この日の悔しさを晴らしてみせる。【福岡吉央】

 [2010年5月20日11時28分

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