<阪神9-2ソフトバンク>◇6日◇甲子園

 ソフトバンク大隣憲司投手(25)が猛虎打線のえじきになり、今季ワースト7失点でKOされた。6回の降板時に選手会長の川崎宗則内野手(29)からマウンドで“説教”を受け、涙目で降板した。4月4日の楽天戦で今季初白星を挙げて以降、泥沼の6連敗。リーグワーストに並ぶ7敗目を喫し、次回の先発は白紙となった。波に乗れないチームは交流戦9勝9敗の5割に戻り、史上初の3連覇は厳しくなってきた。

 ふがいなかった。黄色の人波がうねる甲子園のド真ん中で、大隣は悔しさに身を震わせて「説教」を聞いた。顔は赤く上気して、瞳はうるむ。今季最悪の7失点で6回途中KO。交代を告げられる間のマウンドで、険しい顔の川崎から愛情と厳しさのこもった言葉を投げかけられた。

 川崎

 オマエも点を取られて悔しいと思うけど、オレたちも一緒なんだ。もっと自分の投げたい球を投げた方がいい。

 身にしみた。昨季も小久保から「公開説教」を受ける場面があったが、今回は不在の主将に代わって選手会長から叱責(しっせき)を受けた。涙目で引き揚げた左腕は「同じような投球ばかりで…。何とも言いようがない」と丸刈り頭をかいた。泥沼の6連敗。秋山監督から「点の取られ方が良くなかった。点を取ってもらった次の回は、何とかゼロに抑えないと」と指摘されたのが4回だ。2-1と逆転した直後の投球。1死後の桜井にスライダーを左翼席へ運ばれ、痛恨の1球で同点を許した。

 「連打病」も治らない。1回1死から3連打で先制され、5回には先頭からの3連打で勝ち越された。降板した6回も1死から4連打を許した。3連打以上が計3度。前回先発した5月30日の中日戦も4連打と3連打で計5失点を喫しており、同じ過ちを繰り返した形だ。今回は先発2日前の4日広島戦で中継ぎ登板する異例の“荒療治”を施されたが、復調にはつながらなかった。

 次回の先発も白紙となった。今後について秋山監督は「高山さん(投手コーチ)と話をします」と起用法の再検討を示唆。ただ、代役が簡単に見つからない現状だけに、指揮官にとっても頭の痛い問題だ。大隣は「もったいないというか、悔しい」と唇をかんだ。ともに8勝でリーグトップを並走する杉内と和田に頼りきりでは、チームが行き詰まるのは必至。背番号28の一日も早い復活が待たれる。

 [2010年6月7日11時44分

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