休んでられない!

 ソフトバンク松中信彦外野手(36)が9日の横浜戦(福岡ヤフードーム)で強行出場に踏み切る覚悟を示した。前日7日の阪神4回戦(甲子園)で、自打球を右ひざに直撃させ負傷交代。09年10月に半月板修復の手術を受けた個所の負傷に衝撃が走ったが、幸い右ひざの打撲と診断された。一夜明けた8日、9日以降の試合出場への強い意欲を吐露。試合前練習での状態を見てからの判断になるが、負傷者が相次ぐ危機の中で、主砲が気合でチームを引っ張る決意を見せた。

 「衝撃の自打球」から12時間近くが経過した朝7時過ぎ。松中が博多へと向かう新幹線に乗るため新神戸駅へ現れた。多少右足をかばうように歩きながらも、その表情は明るかった。「打撲なんで。折れてるわけじゃないし」。最悪の事態は免れた。だが右ひざは09年10月に半月板修復の手術を受けた個所。患部にはまだ腫れが残りアイシングが必要な状況だが、主砲は9日以降の出場へ強い意欲を示した。

 松中

 これで休んだら笑われる。10本、20本(本塁打を)打ってるわけじゃないし。休んでいる場合じゃない。

 本人はもちろん、首脳陣を含め誰もが長期離脱を覚悟した。「当たった瞬間は本当に(骨が)折れたと思った。今までで一番痛かった」。前日7日の阪神戦(甲子園)5回表。スタンリッジの内角球をフルスイングした自打球が右ひざ内側を直撃。グラウンドに倒れ込み、苦悶(くもん)の表情でのたうち回った。直後に球場外へ車いすで運ばれると、兵庫県内の病院に直行した。

 検査の結果、幸い骨に異常はなく打撲と診断された。宿舎へと戻ってからは、腫れが残る患部をアイシングし続けた。一夜明けたこの日も、福岡へ戻ると休日返上で福岡ヤフードームを訪れ、アイシングと治療を繰り返した。

 秋山監督もホッと胸をなで下ろした。チームは故障が相次ぐ危機的状況。小久保が2日に登録抹消されると、多村も首痛を訴え9日の検査結果次第では登録抹消の可能性も出てきた。「(松中と多村が)一緒に抜けられたら困るんだよ」と秋山監督。だが決して無理をさせるつもりはない。「打てます、走れません、では使えない」。試合前練習で、走塁面でも問題がないことが確認できれば「4番DH」として起用する見込みだ。

 「小久保さん、多村の分までというより、とにかく自分のできることをやる」。自らの体を犠牲にしてでも、そのバットでチームを救う。それが本当の主砲だ。

 [2010年6月9日11時11分

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