エースが真っ向勝負で完全復活する。右ひざのコンディション不良で1度登板を回避した日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が、12日の中日戦(札幌ドーム)で復帰する見込みだ。体の状態、中13日の登板間隔と不安要素はあるが、いつも通りの豪快な投球で、チームの連敗ストッパー役を担う。

 本拠地5連敗(1分け挟む)の窮地を救うのは、やはりエースしかいない。ダルビッシュは登板予定2日前の10日に、首脳陣が見守る中、ブルペンで最終チェックを行った。「ひざの状態?

 はい。大丈夫です」。多くは語らなかったが、精悍(せいかん)な顔つきは準備が整ったことを物語っていた。

 09年8月から9月にかけて約3週間離脱した際には、下半身の使い方に微調整を加えて、3年ぶりにノーワインドアップでの投球フォームへ変更した。また左臀部(でんぶ)痛で戦線離脱し、ぶっつけ本番で臨んだ巨人との日本シリーズ第2戦でも、腰に負担がかからないように、投球時に踏み出す歩幅を縮め、立ち投げのような独特の投球フォームにモデルチェンジした過去がある。

 抜群の能力の高さでどちらも勝利にはつなげてきたが、自分の体の状態と相談しながらつくり上げた“苦肉の策”ではあった。だが、今回は違う。厚沢投手コーチは「今回はそういうふうに変わった部分はないよ」と明言。低い重心移動でキレのよいボールを投げ込む、持ち前の投球フォームで勝負できる状態にある。

 チームはセ・リーグ最下位のヤクルトに連敗を喫し、借金「11」と苦しい状況。ダルビッシュの快投が、チームやファンに勇気と希望を与える。【本間翼】

 [2010年6月12日10時5分

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