<広島9-12巨人>◇29日◇マツダ

 巨人が球団タイ記録の8本塁打で開幕から広島戦7連勝を飾った。アレックス・ラミレス外野手(35)は2回に先制ソロを放つと、4、5回にも3打席連続のソロ。中日戦で同じく3連発の阪神ブラゼルとキングを並走する26号だ。

 広島の夜空に、巨人ラミレスが「ヨロコンデ」の雄たけびを3度響かせた。メジャー、ヤクルト時代を含め、自身プロ初の1試合3本塁打。「初めてのことなので、とても気分がいい。シンジラレナイ」。来日10年目での自己記録に、喜びと驚きが胸を包んだ。

 3方向へ打ち分けた。2回無死、広島スタルツのチェンジアップをバックスクリーン右へ。4回1死には、チェンジアップを左翼へ。締めは5回1死、外角直球を右翼席へ運んだ。「本塁打を狙った」4打席目は左中間フェンス直撃の二塁打で記録は止まったが「あと少しで届かなかったね。でも、二塁打でも満足だよ」と笑い飛ばした。

 おちゃめなファンサービスが注目される中、周囲への心配りも忘れない。開幕前の東京ドーム練習の日、ベンチ裏のミラールームでジャビットらとともに「剣道パフォーマンス」を最終チェックした。終了後、大きな体を丸め「ヨロシクオネガイシマス」とペコリ。大切な“パートナー”に、日本語で思いを込めた。この日、記録が途切れても「チームが勝つことが重要」と平然と言いのける姿にも、和の心がにじんだ。主砲のど派手な活躍が、強力打線に火を付けた。2回に脇谷が2号ソロ。本塁打王のタイトル争いを繰り広げる阿部も25号ソロ本塁打を放った。エドガーが3号ソロ、坂本も15号ソロを放ち、9回の長野の10号ソロで、アーチ攻勢を締めた。

 85年6月28日阪神戦(甲子園)以来となるチームタイ記録の1試合8発。敵地で巨人版“花火大会”が開演した。原監督は「すべて貴重な本塁打でした」と評価。開幕から広島戦は7連勝で、7戦22発と本塁打を量産中だ。タイムリー欠乏症な時期もあったが、ラミレスは「チーム全体で調子が上がってきているね」と“梅雨明け”を宣言。一足先に巨人打線が、ホットになってきた。【久保賢吾】

 [2010年6月30日9時30分

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